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チョコレートと福祉が紡ぐドキュメンタリー『チョコレートな人々』を見て
今日は仕事を早く切り上げて、ドキュメンタリー映画を見てきました。タイトルは『チョコレートな人々』。「温めれば、何度だって、やり直せる」、そんなチョコレートとともに働く人々を捉えた映画です。
最終日に滑りこんだのですが、本当に見てよかった!!感動したとともに、わたしなりに今後の活動も含めていろいろ考えたことをまとめてみました。だいぶ長くなりますが、興味のある方はお付き合いいただけると嬉しいです☺️
久遠チョコレートとは
愛知県豊橋市発祥のチョコレートブランド "久遠チョコレート" 。カラフルなデザインでいろんなフレーバーがあり、その人気から全国にお店が広がっています。
わたしも発祥の地である愛知に住んでいるので、ショッピングモールでふと見かけてその存在を知りました。第一印象は、おしゃれでいろんな味があってどれも気になる!あと、障害のある人が作っているらしいこと、最初はお値段がちょっと高めだなと感じた記憶があります。
障害のある方が働く事業所には雇用契約を結ぶA型、結ばないB型があります(正式には就労継続支援事業所)。A型は最低賃金以上で仕事をしますが、雇用契約を結ばないB型は最低賃金が保障されないことがほとんどです。
事業所によっては日給が数百円とか、月に20日通っても工賃が数千円とか、障害のある人が当たり前に働いて生活することができない現状があります。東京では最低賃金が千円を超える中、障害のある方は頑張っても1日千円にも満たないことがあるってとてもショックな話。
久遠チョコレートでは、障害のある方、シングルで子どもを育てる方、性的マイノリティの方など、多様な方が自分らしく働ける場所を提供しています。そして時給は最低賃金以上の金額を支払っているところがほとんどです(フランチャイズ展開をしているのですべての事業所がそうではないかもしれません)。
誰の立場もわかる
ドキュメンタリーを見ていると、障害のある本人、障害のある子を支える親、利用者を支え事業所を経営をするスタッフ、温かく見守る地域の人など、いろんな立場の方が出てきました。
こんな方々、実際多いのではないかと思います。
・20日通ってこれだけしか給料を得られないの?と驚く利用者や家族
・障害者として扱ってほしくはないけど、手厚い配慮が必要な人
・一生をかけて障害のある子どもの面倒を見る親
・利用者に賃金を渡すために奔走するスタッフ
・現場で手いっぱいでなかなか新しいことにチャレンジしたり、外の人とつながる余裕のないスタッフ
・自分の給与すらままならないけど、必死に利用者を支えるスタッフ
・特性上、騒いでしまう障害者に困る近隣の人
どの人の立場もわかるし共感できる。福祉は自己犠牲であってはならないと思うし、支える側の人が守られていないと、しっかりとは支えていけないとも思います(必ずしも障害のある人が支えられる側とも限らないのですが)。
障害者ってどんな人
障害とひとくちに言っても一人として同じ人はいません。障害には身体障害、知的障害、精神障害(発達障害含む)の大きく分けて3つがあります。さらに身体障害の中にも、目の見えない人、耳の聞こえない人、手足の不自由な人、ペースメーカーを入れている人…などさまざま。その中にも生まれつきの人、人生の途中で障害をもつことになった人がいます。
地方に住んでいるのか、都会に住んでいるのか、家族構成や家族との関係性など、暮らす環境でも状況はまったく変わってくると思います。
ちなみにわたしの通っていた大学の最寄り駅には昔エレベーターがなくて、車いすユーザーの人はひとつ手前の駅で降りて通学していたとか。環境のせいで障害が生まれていることも多々あると感じます。
わたしと障害者
これまで福井→大阪→愛知に住んできました。福井は車社会だし人口も少ないからか障害のある人を見かけた記憶がほとんどないです。家と学校の往復だったからなのかもしれないけれど。
大学進学で大阪に住み始めて、電車やまちなかで障害のある人を見かけるようになりました。福祉の仕事を目指しているにも関わらず、障害のある人と関わった経験がほとんどなかったです。まずは知ることと思い、身体障害のある方の訪問介護のアルバイトを開始。生まれつき脳性まひのある60代の女性の方でしたが、徐々に仲良くなって一緒にテレビを見て雑談したり恋バナをしたり。立場として介護する人、される人の関係ではあるけれど、ひとりの人であり、人生の先輩と思って関わっていました。
就職してからは、仕事で障害のある人と関わるようになりました。学校で福祉の授業を行うにあたって、障害のある当事者の方と一緒にプログラムを考えたり、学校に打合せに行ったり、当日授業をしたり。車いす当事者の方と仲良くなって一緒にご飯に行く仲になったり。精神障害のある方と一緒に地域住民向けに出前講座を企画したり。
今の仕事は障害の自覚がなくて診断のついていないグレーゾーンの人たちが多いですが、生活上の相談や就労支援で関わらせてもらっています。
いろんな方と出会って、いろんな関わり方を経験させてもらいました。
プロの人たちと並ぶ福祉事業所
百貨店の催事でプロのショコラティエやパティシエと並ぶ久遠チョコレート。役所やバザーで商品を販売している福祉事業所が多い印象ですが、その中でスイーツのプロたちと並んで出店しているのは本当にすごいことだと思います。そして福祉だけで分けるのでなく、ごちゃまぜが当たり前になるのが理想だと思います。
一方で福祉だから、障害のある人が作っているからといってミスは許されないプロの世界。利用者に無理をさせることはできないし、スタッフが徹夜して仕事をする場面もありました。時にはアウトソーシングすることも。
まずは始めてみること、それを続けてみること
福祉の現場は涙あり笑いあり。ドキュメンタリーを通じて、目の前の一人ひとりに向き合う尊い世界を見ることができました。みんなが対等に働けることが理想である一方、障害という現実も甘くないなと感じました。
久遠チョコレートでは一人ひとりの特性に合わせた仕事づくりや環境づくりをしていて、誰もが自分らしく働ける社会づくりのために諦めずに取り組んでいました。本当に頭が上がらない🙇♀️
代表の夏目さんが約20年間必死にもがいて、ここまで大きくなった事業。これから新しいことを始めようとする自分の背中を押してくれたように思います。
やりたいことがいっぱいあっていいし、まずは小さくても泥臭くてもいいからやってみようと思いました。また、助言は必要に応じて取り入れつつも、焦らず自分のペースでやっていきたいなと感じました。
わたしにできること、やりたいこと
改めて、自分には何ができるんだろう、何がしたいんだろうと考えてみました。
・福祉の魅力を発信して、興味を持ってくれる人を増やすこと。福祉を身近に感じてもらうこと。
・福祉のイメージをポジティブに変えること。
「福祉=介護」「福祉=大変、偉い、自己犠牲」みたいなイメージを変えたいです。福祉は他分野と組み合わせたら、クリエイティブでより面白くなるんじゃないかと思っています!
・福祉を憧れの職業にすること。
なんとなく福祉に触れる機会のある人は、身近に感じるかもしれないけれど、そうでない人からしたら縁遠いもの。
子どもの頃から福祉で働く人が身近にいたら、イメージも湧くし、中には自分もそうなりたいと目指してくれる人が出てくると思います。そうでなくても、人と関わりたいだとか誰かの役に立ちたいだとか、結果として福祉にたどり着く人もオールOK🙆♀️
仕事にしなくても、なんとなく興味があるでもボランティアでも関わり方はさまざま◎
そのためにこれからやりたいこと
大半のことが未経験ですが、できることから少しずつ始めていきたいと思います☺️
・福祉事業所が作った商品を取り扱うお店を開く
ただし、福祉のものばかりでなく、いろんな手仕事で作られた雑貨の中に福祉のものも取り扱うごちゃまぜスタイル。知らずに足を運んでくれた人が自然と福祉について考えるきっかけを作れるのが理想!
・福祉について気軽に話せるイベントを開く
コロナ前は少人数で福祉について語り合うイベントを開催していました。コロナ禍でここ数年やれていませんが、これからは同世代の人にも来てもらえる仕掛けを考えたいです☺︎
・SNSを活用した事業所の広報のサポート
魅せることが苦手な事業所、手が回らないところが多いと思います。福祉を開かれたものにしていきたい!
・つい手に取りたくなる商品パッケージの開発のサポート
・採用活動のサポート
・福祉に関わる人の生き方がわかるメディアの運営
・『チョコレートな人々』の自主上映会を開く
福祉の現状や尊さを知ってほしいし、この感動を共有したい!
↓こちらとも少し重なるところがあるかも!
まずできること、やってみたいこと
・久遠チョコレート豊橋本店に行く
・鹿児島のkiitosの工場に遊びに行く
(こちらも障害のある方と手に取りたくなって美味しいチョコレートを作っている)
・奈良のGood Job!センターに遊びに行く
(福祉事業所で作られた商品のアンテナショップ)
・日々てまチャンネルの方とお話しする
(九州を拠点に福祉事業所が作っている商品を魅力的に動画やSNSで紹介している)
・noteで福祉にまつわる記事を書く
福祉の仕事をしている人と出会ったことのない人もいると思うので、まずはわたし個人の経験を記事にしていけるといいなと思います!
・福祉で働く人、福祉に興味がある人とつながる
ひとりでやるより仲間とやった方が幅が広がるしきっと楽しい!一緒に福祉を盛り上げていける人と出会えると嬉しいです🙋♀️
p.s. 個人的に気になったこと
映画を見ていて気になったことが2点。
1つ目。代表の夏目さんがここまでやり遂げているのは本当にすごいなと思いつつ、子どもを持つ女性だったらここまでできるのかなと疑問に思いました。約20年止まることなく積み上げてきた結果で今に至っています(そもそも20年突っ走れることにリスペクト👏)。
人生で子どもを持たない選択をする方もいるとは思いますが、キャリアの中で妊娠出産を経験していたらどうなっているのだろうとふと感じました。
2つ目。障害のある方の親御さんが出てきたのですが、すべてお母さんでした。お母さんが子どもに付きっきりで、お父さんが働いて生計を立てているかな〜と想像しながら見ていました。びっくりするくらいお父さんが出てこなくて、実際はどうしているのかなと疑問に思いました。
この辺の実態も知れるといいなという余談でした☺︎
とても長文になりましたが、最後までお付き合いいただいた方は本当にありがとうございます☺️
よかったら『チョコレートな人々』を見てみてください!そして、見た感想を教えてもらえると嬉しいです!