最近見る夢の話
ぼんやりと目を開けたら、見たことのない天井が広がっていて、テレビからはニュースの音が流れてる。
時刻は午前10時。またテレビをつけっぱなしにして寝てしまったという思いと、こんな時間まで眠ってしまった後悔と。寝起き特有の目の渇きで、時刻を確認しただけでまた目を閉じる。そしたらまた眠りそうになって、時間がもったいないなと思って目を開ける。きっと今日は休日の遅い朝。
やけにリアルな、机の上の散らかり様。畳まれていない洗濯物がベランダのすぐそばのカゴに、乱雑に押し込められたまま。自分の家のはずなのに、見覚えのない部屋に一瞬混乱する。
そこでいつも気付く。これは夢だったって。でも不思議なことに夢なんだろうけど、未来な気もする。今の私はお昼近くまで眠っていたとしか知らされていなくて、私が誰なのか今はどういう状況なのか、詳しいことはなにもわからないのに、それでもこれは私自身だ。30代とか40代の寂しい一人暮らしをしている私だって本能が叫ぶ。
恋愛なんてする気もない。私のことを心の底から理解してくれて、全てを受け入れてくれる人なんてこの世にいない。だから期待もしてないし、そんな存在を求めてもない。寂しければ友達と遊ぶし、温もりが欲しかったら家族に会えばいい。今もそう思っているし、その思いは今まで生きてきて一度も揺らいだことがないのに、夢の中の自分は恋愛をしてこなかったことを心の底から悔いている。悔いているし、ずっと口癖のように言ってきた私の思想は自分に言い聞かせるための強がりだと悟った。
そうして夢の中の私は何をするわけでもなく、ぼんやりと天井を眺めたまま、ずっと涙も流せないくらいの小さな後悔を溜めながら、時間だけが過ぎていくのをテレビの情報だけで知る。何を伝えたいんだろう。このまま誰とも愛を交わさなかったら、こうやって1人寂しく死んでいくんだぞっていう脅し?でもそんなもの知ったことか。誰かを好きになって、その人に裏切られて死にたいと思うくらいの悲しさをもう私は知っている。あんなに悲しい結末を迎えるくらいなら、後悔なんて知ったこっちゃない。
どうせこれからも私を理解して、全てを受け止めてくれる人なんて現れないんだから。だから、こんな世界に希望を持つな。