No.1【金を継いで器を繕う】
福島県郡山市にある、漆や木など素材と手仕事にまつわる工房のet craft。
金継ぎ教室や金継ぎ便を行っており、新しいものを作るだけではなく、繕うということに関しても積極的に行われています。
今回は器を長く使うための繕う知恵である「金継ぎ」について、平井綾子さんにお伺いしました。
器を長く使うために。金継ぎの基本のき。
ー新しい器を買うのではなく、金継ぎで直し、長く使う良さは何ですか?
器が全く違った見え方や違った姿になることで、さらに愛着が増すことかなと思います。
それによってもっと器を好きになったり、もっと大切にしようという気持ちになると思います。
シンプルな器でも、派手な器でも、金継ぎをするとガラッと変わりますね。
ーet craft様では金継ぎ教室も開かれているとのことですが、初心者の方でも手軽に始めることが出来ますか?
作業が想像しづらいので、難しく感じるかもしれないのですが、そんなに難しいことはなくて。一番金継ぎに欠かせないのが器のヒビ割れを埋める「漆」なのですが、漆の扱いに慣れてしまえばそんなに難しいことはないですよ。
仕上げも、金継ぎのイメージは「金」のイメージが強いと思うのですが、もちろん金で仕上げたり、漆を塗ったまま仕上げる漆仕上げというものもあったりするので、その器のデザインと予算に合わせてご自身で工夫したり、選んだりすることが出来ます。そういったところもまた楽しみなのかな、と思います。
ー例えば学生の方などで、予算をあまりかけられないという人へ向けても、漆のみで仕上げることができ、さらに予算も抑えることが出来るということなんですね!
自分好みにお皿を直せることも金継ぎならでは
ー以前、銀で仕上げることもできると聞いたのですが、そういった事もできるのでしょうか?
お客様によっては、「金じゃないとおかしいですかね…?」と聞かれることもあるのですが、そんなことはなくて。お好みでどんなデザインにもできますよ。
ーそうなんですね!私自身漆の仕上げをまだ、見たことがないのですが、どういった色になるのでしょうか?
今、漆も色々な色が出ていて、スタンダードなものは黒や赤ですが、白い漆も出ているので、絵の具のように混色をしてパステルカラーのようにしたりもできます。好みや、その人の感覚で全く変わったものになると思います。
ーどういったお客様が利用されることが多いですか?
器が好きな方や骨董が好きな方、お料理が好きな方が多いですが、皆さんに共通して言えることはものに愛着をもって長く使いたいという人が多いですね。
あとは、お子さんが使っていた器を思い出として残される方も多いですよ。
ーやはり、モノを大切にされている方や、思い出を大切にされている方が金継ぎを利用されることが多いんですね。
「壊れる」ということをもっとプラスに
ーどういった時に金継ぎを利用してもらいたいですか?
割ってしまった時ってやはりショックだと思います。「これって直りますか?」という声をいただくことがあるのですが、どれだけ壊れても直せないものはないんです。破片がなくなっていても、どれだけバラバラになっていても時間をかければ必ず直るので、あきらめずに相談してほしいですね。
ーそういったお皿が割れやすい、お子さんがいるご家庭でもぜひ利用してもらいたいですね。割ってしまうということをマイナスなイメージではなく、楽しみとして変換できそうです!
もっと気軽に金継ぎは利用できる
ーちなみに、県外の方でも直してもらいたい方もいると思うのですが、そういった事は可能ですか?
できます。メールにて、割れたものの画像とだいたいのサイズが分かれば、仕上げによってお見積りすることが出来ますよ。
ー最後に消費者の方に伝えたいことや思いはありますか?
敷居を高く感じてしまう方も多いかもしれないのですが、決して金継ぎは高価な器のためにあるものではなく、普段使いの物でも仕上げを選べばリーズナブルにもできますし、ゴージャスにも仕上げられるので、気軽に利用してほしいです。
ー本日は本当にありがとうございました!
et craft
福島県郡山市富久山町字久保田梅田62
HP:https://etcraftet.wixsite.com/info/about
協力:et craft
interview / writer:加藤はる
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