勝ち点1は掴み取ったのか、勝ち点2が零れ落ちたのか。〈バルセロナ戦レビュー〉
試合情報
ラ・リーガ17節 レアル・ソシエダ vs FCバルセロナ @エスタディオ・アノエタ 現地時間16:00 KICK OFF
前半1-1/後半1-1 合計2-2
〈得点者〉
【レアル・ソシエダ】
(12分/PK)オヤルサバル
(62分)イサク
【バルセロナ】
(38分)グリーズマン
(49分)ルイス・スアレス
〈交代〉
【レアル・ソシエダ】
(59分)ポルトゥ→ヤヌザイ
(66分)イサク→ジョゼ
(85分)オヤルサバル→バレネチェア
【バルセロナ】
(73分)ブスケツ→アレニャ
(74分)アルバ→セメド
(79分)ラキティッチ→ビダル
スターティングメンバーと基本フォーメーションはこちら↓
お久しぶりです
ソシエダレビューは久しぶりです。月に1回書くと言っていたにもかかわらず、ヴェルディのレビューでいっぱいいっぱいになって書けてませんでした。ヴェルディも終わったので、ソシエダメインで書いていこうかなと思います。
サッカーの話をするとソシエダは4位で首位バルセロナをホームに迎えての1戦。今年のソシエダは攻撃がかなりタレントと組織のバランスが良く、良いチームですね。バルセロナは割と苦しんでいるみたい。Twitter見てると危機感を覚えている人が多いですね。
そんなわけで結果でいえばこの試合は2-2のドローでした。タイトルにもあるように、この試合は勝ち点1を掴み取ったようにも見えるし、勝ち点2が零れ落ちたようにも見えるゲームでした。ちなみに筆者は掴み取った派です。読者の皆様には、レビューやら試合を見たうえで考えてみると面白いかもしれません。それでは攻撃と守備、トランジションの3局面で振り返りたいと思います。
攻撃
ソシエダはバルセロナの4-4-2ディフェンスを完全といっていいほどの模範解答で抜け出して見せた。それが下のGIFである。
まずはキーポイントとしてアンカーによるCB間落ちを避けたことである。ソシエダは他の試合で、必ずといっていいほどの確率で試合中にアンカーのCB間落ちを実行している。しかしこのバルセロナ戦に関しては頑なに実行しなかった。それは恐らくバルセロナ2トップの守備範囲である自分達の前の選手にアンカーが入らないことによって浮くことができ、さらにバルセロナ中盤のフラットな4枚を壊すことができる効果を見込んでいたと考えられる。その狙いがドハマりしたことにより、ゲバラが相手のプレスに対して少しアングルを変えるのみでライン間にボールを供給しすることを実現させていた。バルセロナはアンカーにマンツーマンでついていくには幅が足りなくなってしまい、それを実行するにはリスクが大きすぎた。実際ソシエダのメイン攻撃はサイド攻撃なので、中央を締めても守り切れないのである。しかし、後からアンカーに寄せたとしても中盤のディアゴナーレが間に合わないので結果としては一緒だったのかもしれない。
もしライン間で浮きやすいウーデゴールをカバーシャドウしながらアンカーにプレスしても次はイサクが下りてきてしまう。バルセロナは前線から完全に嵌めなければボールを奪えない状態になっており、実際にそこまで嵌められたシーンは少なかった。
そしてライン間にボールを運んだソシエダは、サイドに圧縮されたバルセロナの陣形を見逃さず、すかさず左サイドへ展開。ここからはオヤルサバルとモンレアルが数的優位で左サイドをシンプルに攻略。クロスを上げるシーンが目立った。このような流れをソシエダは繰り返し作り続け、バルセロナを翻弄。ポゼッションも正確に続けられたのが、最終的なポゼッション率でバルセロナを上回ることができた。しかし決定力の面で差を感じたことも事実だ。ゴール前に迫るシーンは多かったものの、決めきれず。なんというか、ここには「ああ、今季のソシエダだな」とも少し思ってしまうところもあった。(笑)
そして右サイドでも実はサイドの深くまで前進する形はあったのだが、そこは前進するのみで決定的なものにはならなかったので割愛させてもらう。しかし他のチームに対しては使えそうな可変というか、立ち位置の変更だった。下にGIFだけ貼っておく。この旋回での前進は意図をもってできていたので、サイド奥でSBがボールを持った後をこれから構築していけるとポジティブなのではないかなと考える。
守備
次はソシエダの守備について。勇気を持った前線からの前プレが良くも悪くも2-2という結果を生んだ。それが下のGIF。
ソシエダはいつもの4-4-2ディフェンスではなく、4-3-3から守備をスタート。まずは中盤を自由にさせないフェーズから守備をスタートさせた。中盤をマンツーマンで3vs3の構図に。しかしそうなるとライン間が空くため、バルセロナはビルドアップの選択肢としてライン間へのロングボールでポストプレーをするか、左サイドでの数的優位のポイントで剥がすかを選ぶことになる。しかしライン間でのポストプレーはソシエダがマークをはっきりしていたため有効な手段にはならず。そうなると左サイドから前進を選ばざるを得ない。ここで気づいた方もいると思うが、選ばざるを得ないということは相手はそこに意図的な誘導をしているか、最低でも自然に追い込めるポイントであることは分かる。ソシエダの場合は前者。完全に狙って誘導していた。ポルトゥをプレススイッチとしラングレにプレスする。スイッチが入ったところで一気にマンツーマンに移行する。右SBのサルドゥアがアルバ、グリーズマンにスベルディア、スアレスにジョレンテとスライドしていく。ここから蹴るか、GKに戻すしかないバルセロナは苦しむことになる。勇気をもって最終ラインの数的同数を実行しほとんど抑え切ったのは素晴らしい決断だったといえる。ただいきなりライン間を使われたシーンでのスベルディアの一瞬のミスで失点してしまったのは残念だが、サッカーとはこういうものだとたたきつけられたようなシーンであった。いくら頑張っても、ワンミスが命取りなのである。シビアな世界である。
両チームのトランジション
そしてこの試合はポジティブトランジションが試合を左右したともいえる。まずはバルセロナのポジティブトランジションから。
この試合両チームともにポゼッション型のチームであること、マンツーマン気味に対応していたため中盤でのバトルが多かった。またボールを取った後の対応に違いも少し目立った。バルセロナはまず裏から。少し前に攻め残っているような状態の2トップが即座に裏を狙い、ゴールへ。実際にバルセロナの2点目はこの形からだった。タイミングの上手さなどソシエダの守備陣に対し質的優位を存分に発揮できていた。もし裏が無理でもライン間が空いているため、グリーズマンが受けたり、2トップのポストプレーからレイオフで前を向いたりと全員のベクトルが同じであるからこそできる素早い攻撃で、効率よく得点につなげていた。
そしてソシエダ。ソシエダも即座にゴールへ向かていたのだがバルセロナの守備陣にうまく対応されてしまった。それが下のGIF。
ソシエダはバルセロナの中盤のミスをCBが回収するシーンが目立った。そこから即時奪回を狙うバルセロナの中盤3選手は意識が前に向き、ライン間にひっそりとポジションチェンジしたり、攻め残っているウーデゴールを捕まえられず、簡単にライン間侵入を許していた。しかし守備陣がここから粘る。質で上回るバルセロナは、まずセンターレーンを早めに締める。イサクやポルトゥが抜け出すも少し外向き、センターレーンからポケットに向かって抜け出すしかなく、CB陣に対応され得点には繋げられなかった。ここがバルセロナの攻撃との違いになった部分もある。数的同数でもまずディレイとサイド追い込みを狙いに行ったバルセロナに軍配が上がったというところだろう。ライン間に侵入したところまでは良かったのだが、その先が課題となるだろう。
まとめ
今回のレビューいかがだったでしょうか。なかなか面白い試合だったので、まだ見てない人は見てみると良いと思います。バルセロナとの戦術的駆け引きと、気持ちよくソシエダがサイドチェンジを決めるシーンはなかなか爽快ですよ。もちろんバルセロナの理不尽さも、ああサッカーですねって感じましたし(笑)。
試合は2-2でしたが勇敢に戦ったソシエダを褒めたいですね。確かにもったいないとも言えますが、サッカーってそんなもんだし試合の大半をしっかり支配していましたので、筆者はそこを評価したいです。とても楽しかった。これからに期待できる内容だったし、いろんな人に見てもらいたいなと思います。何か思ったことあればTwitterにでも質問ください。
では次の記事でお会いしましょう。次は分析してるかな?(笑)さよなら!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?