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小説 これは私の夢のはなし

🐑#004 喫茶店の父母

わたしの夢には実父母とは違う父母が出てくる。
わたしはまた夢の中にいた。

「ただいま。」
わたしはとある喫茶店のドアを開ける。
「お帰りなさい。疲れたでしょう。」
夢の母は優しく迎えてくれる。
コーヒーの良い香りが店内を駆け巡る。
「コーヒー飲むでしょ?」
夢の母の優しい声にうんとわたしは頷く。

店内には真ん中に丸い大きめのテーブル席、カウンター席4席、端にテーブル席が3席ほどある。
端のテーブル席の前に小さな黒いピアノがあって今は誰も使って居なさそうだ。
少し広めの店内にジャズがゆったり流れている。
客の数はまあまあいる。

わたしは真ん中の丸いテーブルに座った。
店内のBGMが*flytothemoon*が流れ始めた頃にコーヒーとサンドイッチが運ばれきた。
「しばらく連絡も無いから心配してたのよ。」
母は言うとわたしの背中を優しくポンポンとした。
「ごめんなさい。」
わたしが言うと母は優しく笑って言った。
「お腹すいたでしょう。早く食べなさい。」
わたしの肩を軽く触って言った。
(おいしい。)夢の中でもサンドイッチとコーヒーの味がした。優しい味だった。

カウンターを目を向ければ、夢の父がコーヒーを入れていた。
わたしは父のいる作業場の中へ入るとカップと皿が洗い場にあったので洗い物をした。
父は「ありがとう。」照れながら言う。
母は客の飲み終わったカップをさげて作業場へ入ってくる。
会計を済ませた客がドアを開ける。
カランコランと鈴の音が心地よい。
喫茶店の家族ってこんな感じなのだろう。
何も必要な会話が無いのに心が穏やかだ。

きっと誰かの夢のはなしにいるだけかもしれないのに、わたしの家族ではないのに、夢から覚めると思うとさびしさが込み上げてくる。

夢の父が言った。
「また帰っておいで。待ってるよ。」
夢の母はわたしを抱きしめて言う。
「またね。風邪をひかないようにね。」

夢から覚めた。
夢の父母のぬくもりが残っている気がした。
優しい気持ちとさびしさが心に残る。
そして思う、

季節が夏から秋、秋から冬に変わるころ、
「どうぞ体調をくずさないように。
夢のお父さん。夢のお母さん。
どうぞ元気でいてください。」
小さく呟いた。

☕️これは私の夢のはなし☕️

*flytothemoon*   ジャズの曲 


☕️これは私の夢のはなし☕️をお読みいただき誠にありがとうございます😊
どなたかの目にとまれば幸いでございます 😊
また夢のはなしでお会いできればと思います😃



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