どうして、ぼくは弾丸ツアーをするのか。
港からフェリーで、空港からプロペラ機で、住んでいる島を旅立つ。
ぼくにとっての「弾丸ツアー」はここからはじまる。
弾丸ツアーにはお金と時間が費やされていく。
4〜5日の時間で、ぼくの手取りの4分の1(約4万円くらい)のお金が飛んでいく。
休みの時間と数少ない手取りからお金が飛んでいくのは、貧乏公務員には厳しい現実だ。
それに、さすが離島・対馬は風が強く、フェリーや飛行機が欠航になることが多い。
フットワーク軽い系と自負する身も、自然界には勝ちようがないのだ。
けれども、ぼくはこの「弾丸ツアー」こそ意味のあることだと考えている。
今回は、それを紐解いていきたいと思う。
「出張」ではないから。
島外に出る際に、港や空港で知り合いに会う率は高い。
その時知り合いから言われるフレーズはそれぞれで、「そりゃ、楽しんでこいよ。」という声があれば、「お前、大事な休みなのにどうして。」とか「出張じゃないのに、金を賭けてまで行くんかい。」という声もある。
出張ではないから、自分本位に楽しめる。
出張ではないから、自分本位に学べる。
出張ではないから、自分本位に賭けられる。
出張ではないから、自分本位に出会える。
「出張」というお堅いカタチではない、自分本位の、楽しみ方・学び方・賭け方・出会い方がそこにはあるのだと思う。
そして、ぼくが思いもしない新しい世界が待っているのだ。
楽しさが何よりの原動力。
ぼくが島外に出向く原動力として、日常生活では味わうことの少ない楽しさがある。
楽しさには、知らない人やモノに出会えたり、誰かに鼓舞されてモチベーションが上がったり、新しい価値観を得たり、色々あるのだ。
それらを通じて掴んでいく、楽しいという感覚がぼくの弾丸ツアーを後押しする。
たとえお金と時間が取られようが、楽しかったのではあれば結果オーライだ。
知見と人脈を広げる。
ぼくは、人に出会うことが好きで仕方ない。
世間でよくいう「人たらし」という部類なのだろうか。
数日間にわたって島外に出向くと、半数以上は「はじめまして。」の人だ。
その知らない人から聞く話は、ぼくの日常生活にはないものだらけで、本当にワクワクする。だから、余計にそういった人たちに会いたくなる。
弾丸ツアーでは、多種多様な人たちに出会う。
ぼくの周囲に最も関わりの深い、介護・福祉・医療の業界の人たちだけでなく、地域おこし・地域づくりに携わる人や官公庁で汗を流す公務員に出会う。
その人たちとの出会いは偶然なものも多い。
ぼくが出会う人たちに共通しているのは、「社会を変えていきたい。」「生活を面白くしたい。」「誰かと繋がりたい。」といった姿勢だ。
その姿勢に、ぼくは惹かれていく。
そして、そのような人たちと出会うと、知らない地域の現場に出会える。
介護の世界から誰かが作っている地域コミュニティまで、多種多様な世界だ。
そこで新たな知見を得て、自分の中で広げていく。
知らないことを知れる面白さも、また1つの醍醐味だと思う。
新たな価値観に出会う。
知らない人との出会い、知見を得ることで、新たな価値観に出会うことになる。
新たな価値観には、「は?」ってなるような発見が多々あり、ぼくの許容範囲を広げるのに重要な要素だ。それが、ぼくの生き方であったり考え方に影響を与えてくれる。
人間の可能性は無限大だということに気づかせてくれる。
それに、出会う人を通じて、普段はあまり関わりを持たない他分野に片足を突っ込み、自分自身の新たな価値観や可能性を見出す機会を作っている。
モチベーションを維持したいという思い。
ぼく自身、新たな価値観や可能性に出会うことで、心をワクワクさせられている。
日常生活で得られないワクワクさが、モチベーションの維持につながっていると言っても過言ではない。
とりわけいつもの生活はルーティンの繰り返しでモチベーションを維持するのに苦労する。
時には、違う世界を見ることで、心と身体がリフレッシュされていくのだ。
つまり、常に楽しさ・面白さを追いかけたいぼくにとって、弾丸ツアーはモチベーションを維持するのに大事な要素だ。
弾丸ツアーの先にある協働に向かって。
✔︎官民協働(官公庁と民間企業が互いに協力しあい、公共サービスや事業を推進して行く取り組み)
✔︎多職種連携(異なる専門性を持った職種が集まり、共有した目標に向けて働きかける動き)
官民協働は、公務員として目指している先のこと。
多職種連携は、社会福祉士として目指している先のこと。
この2つの共通部分は、自分の立場と異なる人や組織と連携すること。
自分の立場と異なる相手や組織と協力しあうには、どれくらい異なる相手や組織に関われるかにかかっていると考えている。
そこで向き合う異質な相手から、その相手の人脈や考え方、思いといったものを得ることができる。それを知るか知らないかによって、異質なものを受け止める姿勢につながる。
異質な存在と上手く関われるか。
つい数ヶ月前に木下斉さんの記事を読んで、お金と時間をかける弾丸ツアーは良いものだと実感した。
以下、上記の記事からの引用。
「一方で、いい公務員も私は沢山知っていますが、いい仕事している人たちははなにしているか。自分たちで時間作って、旅費や飲食費とか付き合いのためにカネつかって出ていっている。必要な情報のために出向いていろいろな人に話を聞いている。自ら費用を支払って学ぶべきセミナーや学校に通っている。つまりは適切に自分にも投資しているわけです。もらったカネを死に金にしていない。」
異質な存在と関わりを持ち、普段の仕事に活かすために、時間と金を使うこと。
これが、官民協働と多職種連携をはじめる第一歩になるかもしれない。
民間×行政や福祉×◯◯のタイアップを。
結局、ぼくが弾丸ツアー後にやりたいのは、民間×行政や福祉×◯◯のタイアップみたいなこと。
外に出会った人たちと繋がり続けて、いずれは対馬に来てもらいたいし、対馬で何かを起こしきっかけにしたい。
そして、逆にぼくが島外で対馬という地域のために何かできることをしていきたい。
そう思いながら、公務員として地域人として目標にしている井上貴至さんの生き方に注目している。
以下、上記の記事から引用。
「私は、仕事とプライベートを分ける『ワークライフバランス』よりも、『ワークライフシナジー』のほうがしっくり来ます。ワークがライフに生きて、ライフがワークに生きる。そうした生き方を私はしてきましたし、そのほうが幸せになれると思います。地域で人と会い、つながりを生むことは、私にとってライフワークです」
これこそ公務員で社会福祉士でフットワーク軽い系のぼくが目指す生き方。
ミツバチのように地域を飛んで回りたい気持ちは誰よりも強いと思う。
これからも、はりやという拠点をベースに、様々な組織や人がタイアップしていければと考えているし、ぼくはそれを実現するためにも、この「弾丸ツアー」は定期的にやっていくつもりだ。