手書き
書類の手書きを減らして欲しいという子育て世代からのツイートが河野行政改革担当大臣の目に留まり話題になっているという。
そもそも出さないといけない書類がとにかく多い。それらの大半は所謂お役所関連で、そしてそれらの記入事項は9割方同じだ。そしてどれも手書きときているから、このツイートを出した人の気持ちは子育て世代でなくても本当によくわかる。
うんざりした経験で今でも鮮明に思い出すのは、川崎市の国民健康保険を使っていた際に受けた健康診断で、検査を受けるのに似たような形式の書類5枚くらいに同じことばかり繰り返し書かされたことだ。たかが5枚程度と思われるだろうが、実際、住所/氏名/生年月日/年齢とかとか、続けて同じことを手書きで書けば、なんでこんなことしているのかって誰だって思う。
一方、今年受けた人間ドックは、協会健保のベースで以前からかなり合理化が進んでいた印象の専門クリニックで、申し込みも予約もネットだし、手書きしたのは問診票などごくわずかだった。
手書きの紙の書類に記入するのも面倒でなんとかしてもらいたいものだが、書類を提出した分だけ、それを受け取ったお役所では誰かがそれを処理しているわけで、今時だからそれらは単に記録として保管される訳ではなくて何らかのデータとして何らかのシステムにお役所の誰かが手で入力したりしているかと思うと、なんだかな〜って思う。だって、書類が多いのって、それぞれの担当部署が個別に書類を出せ、って言っている訳でしょ。
きっとお役所の皆さんだって、絶対に合理化できるな〜って思ってるに違いない。反面、本当に合理化されたら、仕事も合理化されるかも、とも思っていたりするのか、そこまでは考えていないのか。。。
デジタル化もプロセスの合理化も遅れまくっている行政のなかで、意外にも着実に進歩しているのは、国税庁の確定申告ではないかと思う。
確定申告の専用サイトで入力して確定申告をするようになって10年以上になるが、始めは使いにくく色々と不備もあったが、ここ何年かの改善は地味だがとても印象的だ。特にマイナンバーと連携して電子申告を行うと、最初から最後まで全く紙を使うことなく、もちろん手書きもない。
サイトも良くできていて、必要な事項を順番に入力していけば良く、詳細情報が必要な項目にはそれぞれの入力ページが用意されている。税金の仕組み自体が複雑で入力項目も非常に多いのはそれはそれで抜本的に何とかならないものかと思うが、それぞれの項目に疑問を持っても説明のページへリンクが用意されていて、調べたり確認しながら入力して行ける。面倒な計算もほとんどサイトでシステムがやってくれる。年々改善されてきたから、おそらく毎年相当の予算をかけてシステムのアップデートをしてきた結果だろう。
デジタル庁にかかる期待は大きいし、是非、大胆に行政のデジタル化を進めてもらいたいものだが、国税庁がそうであるように、既存の手順、書式をデジタル化することに留まるのだろう。それを仕方がないことと思うのか、もっとゼロベースで手続きや規範、さらには法律すらも変革していくのか。
先は長そうだが、動き始めてはいることに少し希望も感じるのである。