「月が導く異世界道中」は、異世界ものの「ツインピークス」になり得るダークファンタジー?
「月が導く異世界道中」というアニメをご存知でしょうか。
タイトルの通り異世界ものです。
大きな設定は他の異世界ものと大差はなく、チート能力を持っていて異世界で無双する内容なのですが、他の異世界ものと違う点があります。
1つが主人公の両親が地球人ではなく、主人公が連れてこられた世界の住人だということ。
もう1つが、異世界先を司る女神から主人公は「ブサイク」という理由で嫌われ、女神にめちゃくちゃ嫌われていて、主人公に力を与えたのが月読命(つくよみ)です。
タイトルにある月が導くは、主人公が異世界に導いたのがツクヨミだからです。
異世界の女神がなかなか性悪で、この世界のヒューマンは女神の加護を受けており、加護を受けられるのは美形だからです。
ヒューマンの美的感覚でも主人公はブサイクというレッテルを貼られてしまいます。
最初は主人公を勇者として召喚したのですが、女神が自ら放棄し新たに2人の美形の人間を勇者として召喚しました。
その内の1人が主人公の学校の先輩で、主人公と面識のある人なんですよね。
先輩は立派な勇者として魔族と戦っていく。
主人公はというと、魔族も亜人もヒューマンも分け隔てなく接したいと願ってはいるけれど、話が進んでいくうちに魔王に近いような存在になっているというか、今は2シーズンまで終わっているのですが、1シーズン目にめちゃくちゃ苦戦した相手と再戦するのですが、その時の戦い方が主人公らしからぬと言いますか、めちゃめちゃ嫌味な戦い方をするんですよね。
その感じがもしかしたら両親がこの世界の住人という設定が活きてくるところなのかなと。
ヒューマンにも共感できないし、女神にも共感できないし、魔族にも共感できないし、勇者にも共感できないし、主人公にも共感できない。
あえて共感できるとするなら、主人公の従者に共感できるのかなと。
めちゃめちゃ不愉快というわけではなくて、澱が溜まっていくような不愉快さというか、人として共感できない異世界の話と言いますか、安部公房大先生の小説を読んでいるような違和感みたいなものがあって、数多くの異世界転生ものを見てきた私の中で、「月が導く異世界道中」は他の作品と比べてめちゃめちゃ違和感があるわけではないけれど、でも他の作品とは一線を画すというか、不思議な作品として注目しています。
2024年に2シーズンが終わり、話としてはまだまだ中途半端なので早めの3シーズン目を迎えてくれることを期待しています。
明るくない「転生したらスライムだった件」と言いますか、ややダークファンタジーなのではないかと思ってみたりもしています。
なので、この作品は場合によっては、めちゃくちゃ暗い終わり方をする可能性もあります。
もしかしたら「月が導く異世界道中」は異世界ものの「ツインピークス」になり得る作品だというのは大袈裟でしょうか。
この作品はアマプラで1・2シーズン共に見られるので、興味のある方はぜひ見てみてください。