子供のサッカー戦術理解度を上げる4つのステップ
子供のサッカーでよく言われているのが、ボールの扱いは日本の子供たちは世界トップクラスに上手いけれど、試合になるとサッカー先進国の子供達が圧倒する。
これはボールを扱う技術ばかりを追いかけ、試合で役立つ技術や思考が育っていないからです。
ただ、それも昨今では変わりつつあるのかなと。
その要因としては子供たちが世界トップクラスの試合を容易に観られるようになったことと、YouTubeでサッカーに関するチャンネルが多く出現したことで、子供だけでなく、親もサッカーIQが上がったことで、昔ながらのサッカーが淘汰され始め、子供年代からフットボールを求めるようになっています。
ただ、所属するクラブがJ下部のようなセレクションがあって、全国制覇を狙っているようなところなら、教えるレベルも周りの選手のレベルも高いので、より現代的な指導を受けられますが、少年団だと指導者のレベルの差が激しいので、入団を考えている方が高学年の試合を見て決めるのがいいと思います。
どんな戦術を用いて、どのような指導をしているのかがはっきりと分かります。
前置きが長くなりましたが、子供たちの戦術理解度を上げるための4段階について書いていきます。
対象年齢は小1〜中3くらいでしょうか。
これは子供たちがこういう理解でサッカーを学んでいくというイメージです。
段階を飛ばしすぎないように、少し早目くらいがちょうどいいんじゃないかと思います。
第一段階 ボールに引力がある状態(団子サッカー)
小1から小2くらいまでは、ポジションという概念がなく、皆がボールに集まっていきます。
いわゆる団子サッカーというやつです。
サッカーというよりもボールをいかに触るかというゲームですね。
この中で頭のいい子は、集団の中に入らずに少し離れたところにいて転がってきたボールを触りにいきます。
この時代が長すぎると次の段階に進んだチームにボコボコにされますし、技術が身につかないため、できれば低学年で卒業したいところです。
第二段階 ゴールに引力がある状態
小3くらい(サッカー歴3年目)になると、指導者も「固まるな」とか「どこに人がいない」という掛け声をかけ、さらに子供たちもポジションがわかるようになるため、ボールにフィールドプレイヤー全員が集まるということはなくなります。
ただし、まだキック力がないため、フィールド全体を使うということができないため、部分的な団子サッカーになります。
それでも、ゴールを守るゴールを決める気持ちが強くなるため、パスを出して走らせたり、ゴールに向かってボールを蹴って追いかけたり、ドリブルで突破するようになります。
守備も広大なスペースを与えることがなくなり、ロングキックの範囲内でポジションを取るようになります。
小3くらいから始める子も多いため、技術の差よりもサッカーに対する考え方の差が始めの頃は生じるため、試合で活躍できる子とそうでない子の差が広まっていきます。
第三段階 スペースに引力がある状態
早ければ小4、遅いチームは小5くらいからスペースを使うサッカーに変わってきます。
この辺りから指導者の差が生まれてきやすくもなります。
勝利至上主義みたいな指導者だと、足が早くて成長が早い子をトップに置いて、いわゆる縦ポンサッカーへのシフトが強まり、ポゼッションをさせようとする指導者だとGKをDFへのショートパスから頑なに始めようとします。
プロの試合に近いような内容になっていくのが、第3段階です。
攻撃ではうまくスペースを使いながら攻めていき(ロングフィードもかなり飛ぶようになっていく)、守備ではスペースを埋めるようになっていきます。
ボールホルダーに猛然と突き進み、裏にスペースを空けて失点ということが徐々に減っていくのが第3段階です。
この段階に行き着くのがチーム全体で早いチームが強豪と呼ばれ、普通の少年団では卒団までに一応形になるくらいだと思います。
スペースの概念をどこまで深く理解できるかによって、高学年での試合の活躍が変わってきます。
第四段階 相手のベクトルを意識する
J下部や全国クラスのクラブチームは、高学年でこの領域に足を踏み入れています。
ただ、この段階に中学生の間で到達できれば十分だと思います。
元ジュビロ磐田の藤田俊哉さんが、高校時代に外国のコーチに
「名波浩はボールを持っていないところが上手い、藤田はボールを持っているところが上手いと言われ、ボールを持っていないところが上手いの意味が理解で切るようになったのは、24歳だった」
というようなことを仰っていました。
そのくらい第三段階と第四段階でレベルが上がります。
第四段階は相手の動きを意図的にコントロールする段階です。
自分たちでスペースを作り出したり、相手との駆け引きを意識する。
1対1の場面では正体を取ったり、相手のベクトルの逆をつけるようにパス1つに工夫をするようになります。
スペースを空けるために、DFを引きつけるようなランニングをしたり、質的優位、数的優位、位置的優位を生み出すような意図を持つ。
3人目の動きができるようになるのも、第四段階になってからです。
小学生の高学年になると、ゴールへの推進力とスペースへの意識でチームが連動するようになりますが、多くて1試合で2回くらい連動できるかどうかです。
相手のベクトルをチームで共有できてこそ、3人以上の連動が成り立つようになります。
ただし、小学校から中学校でボールの大きさもフィールドの大きさも人数も変わるため、中一の始め頃は11人での団子サッカーになりがちです。
体も成長過程のため、第四段階にどのタイミングで進めるかは個々によって変わってくるのかなとも思います。
それでも、中3までには概要の理解とトライできるようになれば、高校サッカーで優位に立てるのではないかと思います。
長男が中一になり、強豪クラブと対戦するようになりましたが、第四段階までチームとして到達しているクラブはありませんでした。
この段階にいつ到達できるのか、少しだけ早いくらいがちょうどいいように思います。
最後までお読みいただきありがとうございます それだけでとても嬉しいです ただ読んでくれただけで イヤ本当に読んでくれただけで十分です 本当に嘘じゃないよ