J1第10節ジュビロ磐田対町田ゼルビア 勝利の鍵は経験と中盤のあの選手
第10節町田ゼルビア戦は今季を占ううえでの大一番と言っても過言ではない試合です。
勝てば今季上位でフィニッシュする可能性がありますし、負けた場合は最後まで残留争いに巻き込まれる危険性もあります。
その理由を詳しく知りたい方は下記の記事をお読みください。
そんな大一番で横内監督はスタメンとベンチ入りの選手を変更してきました。
先発にここまでほとんど出番のなかった鹿沼選手を起用し、SBを西久保選手と松原選手に変更しました。
植村選手に関してはここまでの疲れを怪我なのかは分かりませんが(怪我ではないことを願ってます)、両SBとも高さがある選手を揃えてきたのは町田ゼルビア対策なのかもしれません。
ここまで首位争いを演じている町田ゼルビア。
なぜかヒール役のチームですが、試合を見る限り非常にシンプルな戦術をとっているなと。
町田の基本戦術は自分たちに優位性のあるところで戦うというものです。
どのチームも優位性のあるところを活かして戦いますが、町田はその活かし方が徹底していて、絶対的に優位性のあるオセフン選手にシンプルにボールを当てる。もしくは時間を作り、ペナルティエリア内に人数をかけて、早くて強いボールをサイドから入れる。押し込んだ状態で相手チームがサイドに逃げたらロングスローを使う。
GKがボールをキャッチした時は、攻めてきたサイドからカウンターを発動させる。
超ざっくりといえば、町田の攻撃はこんな感じです。
ここまで徹底して、90分強度を高くしてやり続けるのは素晴らしいですし、ジュビロ磐田が勝ったことを加味した上で、町田の戦い方は嫌いではないです。
第9節が終わった時点でJ1の首位に立っているのは単純にすごいと思います。
そんな町田相手に、他のJ1チームが持っていなくジュビロ磐田が持っているもの。今回勝利した最大の要因はシンプルにこれだと思っています。
それは何かというと、町田と対戦した経験です。
昨年J2リーグで2度対戦したのは大きかったなと。
町田も選手が大幅に変わりJ1仕様になっていましたが、基本的な戦い方は昨年がベースになっているので、町田への対策を経験から練られるのは磐田と東京Vだけです。
ここまでボール支配率が非常に低かった町田ゼルビアが、ジュビロ磐田戦は57%の保持率になっているのは、ある意味で狙い通りだったんじゃないかなと。
90分を通して繋いで崩す意識よりもロングフィードでペイショット選手に当ててからという、町田と同じような戦い方をあえて意識的に回数を増やしたように思います。町田の怖さはカウンターを発動した時ですし、人数をかけて押し込んだ時ほどカウンターは威力を発揮します。
これまでの試合では前から嵌めようとした場面も多くありましたが、町田戦ではほとんど見られませんでした。この試合に関しては空中戦がかなりのウエイトがあったので、ペイショット選手の体力を温存する狙いもあったのかなと。
さらに空中戦でのこぼれ球への反応や守備で90分間頑張り続けられる鹿沼選手をスタメンに起用したのもズバリの采配でした。
藤原選手ももちろん素晴らしい選手ですが、鹿沼選手のような黒子に徹しられる選手、汗をかける選手は1人いるだけで助かります。
セカンドボールを回収できる選手というのは、次の予測ができる選手なので、ピンチの場面に顔を出すことができます。
今後も鹿沼選手がスタメンになる試合が増えていくだろうなと思うには十分の活躍でした。
覚醒したジャメ選手や怪我が本調子でない中、貴重な先制点を叩き出した松原選手、空中戦で90分やり合い続けた森岡選手とRグラッサ選手など名前をあげたらきりがないくらい素晴らしい試合でしたが、私はこの町田戦でリーグ初出場の選手を途中交代を含めて多く起用した横内監督の采配が最も印象的で素晴らしかったと思います。
首位相手にしかも昨年順位が上だった唯一のチーム相手に、鹿沼選手、小川選手、石田選手とこれまでほとんど出番のなかった選手を使うことで、出番の少ない選手のモチベーションが上がりますし、チーム内の競争が激しくなっていきます。
昨年もそうでしたが、横内監督の選手に対する愛情と言いますか、モチベーターと言いますか、戦術だけでなくチーム全体を配慮しているなという、選手へのリスペクトが感じられるところが、長期政権を築いていってもらいたいなと思わせる監督です。
横内監督の元、ジュビロ磐田がJ1を制する日がくるのが楽しみでなりません!!!