世界一の鍼灸師(Acupuncturist)に俺はなる。
どうも豪華客船鍼灸師のリョウタです。
今船はイタリアのナポリに寄港しており、カプリ島まで足を伸ばしています。
世界一の鍼灸師。
まず初めに何を持って世界一とするかは人それぞれ定義もあると思います。
誰にも治せない難病を治す鍼灸師、世界一のアスリートを支える鍼灸師、経営する治療院の売上世界一、世界一のスポーツチームを陰で支える鍼灸師。
そもそも僕らの業界で世界一とか考えることすらナンセンスかもしれません。
先日こんなツイートをしました。
先月配布された社内紙によると、うちの会社の売上1位は一日の売上が$4260。月にすると$127,800(1370万円)7カ月の契約で彼は1億近くの売上を残すことになる。1人で1億とかもう歌舞伎町のホストじゃん。てことで僕はホストから何か学んだ方が良いのかもしれない。勉強しよ
うちの会社にはアメリカ、イギリス、ポルトガル、中国、インド、100人を超える多種多様な国籍の鍼灸師が働いており、多くの場合1つの船に1人の鍼灸師が派遣されます。
そんな有象無象が集まる、国際鍼灸師達の頂点に立つ彼の1日の売上は正確に言うと4,264$。今円高が進んでいて1$=106円で計算したとしても、1日の売上が45万2千円。
これは最高額では無く、月の売上を日数で割った1日のアベレージの売り上げです。
僕は昔、船で働き始めた頃こう考えていました。
「一回の治療でチップ込みで2万円近くゲストに払ってもらうのが本当に高すぎて申し訳ない。」
「売上あげてる鍼灸師なんて、どうせ会社とか金に魂を売ったクソみたいなやつらに違いない。」
まぁ日本で鍼灸治療の相場といえばおそらく3千円〜1万円くらいでしょうから、英語もろくに話せない当時の僕はその価値を提供できているとも思えなかったのです。
しかし豪華客船に身を置いて5年、日本で臨床していた時と同じようにゲストに治療して喜ばれるようになり、ビジネスをしているという感覚より、まるで呼吸をするように、たおやかにそこそこの売上をあげれるようになった今、改めてこの1日の平均売上4,264$という数字をみた時
「こいつ、すげーんじゃね?!」
って純粋に思ってしまったのです。
そして会社から次に乗船可能な船のリストをもらったところ、このNo. 1ホスト鍼灸師が乗船していた船がリストにあるではありませんか。
No. 1になるチャンス到来。
これはオフィスからの期待(という名の売上上げろプレッシャー)を感じるとともに、僕には彼のように1日4000$以上を売り上げつつ、心身の健康を保つことが本当に可能なのか考えないといけない必要性に駆られました。
以下に書く文章は豪華客船で働いている方、これから働く方、経営力ではなく個人の力でどこまでいけるか興味のある方に読んでいただければ幸いです。
世界一の鍼灸師(Acupuncturist)になるためには
今までトップになるためには大体1日平均の売上が3,000$前半、数年前にいたっては1,000$後半を叩き出せばNo. 1になれていました。
それが一気に4,000$台。
もうフリーザ様の戦闘力を初めて知った時のような衝撃でした。圧倒的数字です。
あのZ戦士の中でも強めとされていた天津飯を子供扱いしたナッパですら戦闘力が5,000です。その100倍。なんと言う圧倒的感。
おそらくこれは個人の鍼灸師が稼ぎ出せる最高の数字なのではないかと思います。
よって今回はこのような
「世界一の鍼灸師(Acupuncturist)に俺はなる。(仮)」
というタイトルにさせていただいた次第です。
そんな世界一になるには実際、毎日どれくらい鍼治療をして、漢方を処方しないといけないのかというのを今回考察してみました。
1、毎日どれくらい治療せなあかんのん?
毎日4,264$の売上をあげていると言っても、それは全て鍼治療で得ているものではありません。
会社の資料によると彼のリテール、いわゆるこの売上に対する漢方薬処方の割合は55.4%。
ということは鍼治療であげている売上は1日1,919$。
一回の鍼治療代は169$ですが、複数回来たりすると安くなったりするので一回の鍼治療を130$で彼がやっていると仮定すると、1日治療するゲストの数は平均15人。
これを1ヶ月休みもなく、毎日コンスタントにこなしていることになります。
もしかしたら
「1日15人くらい俺も治療しているよー。」
という鍼灸師の先生が、日本でもいるかもしれませんが船の場合、陸で働くのとは違うポイントが大きく二つあります。
まず一つ目はゲストが1週間単位でリセットされるということです。
ゲストが5,000人を超えるような大型クルーズ船の場合、大体1週間から2週間クルーズが多く、1〜2週間単位でゲスト総入れ替えがあります。
(世界最大のクルーズ船とタイタニック号の比較)
そして新たに乗船してくるゲストは、その船にいる鍼灸師が売れっ子鍼灸師であるかどうかなど知りもしません。積み上げていくものが無く、全くの出た所勝負です。自分でセミナー等を駆使しゲストを取ってスケジュールを埋めていかなければなりません。
もう一つは値段です。いくら乗船されているゲストがブルジョワな方達とはいえ、彼らも陸では治療費がもっと安いことを知っています。そもそも鍼治療受ける気満々で乗船してくるゲストなんていません。
これら二つの壁を超えた後に土日も休み無く、1ヶ月間、1日平均15人の治療をこなした先に見えてくるのが、1日平均1,919$という売上です。
ちなみに月商にすると鍼治療だけの売上は17,271$=183万円です。
2、毎日漢方どれくらい処方せなあかんのん?
これが結構エグいです。漢方の売上が1日平均2,345$。1ボトル99$で販売している、御社のJou Herb
これを毎日23ボトル。1ボトル1ヶ月なので約23ヶ月分売っている!
もう漢方薬だけでお腹いっぱい、何も食べられません状態。
彼の治療を受けると、おそらくもれなく2年分くらいの漢方薬を処方されることが予想されます。
ちなみに僕の場合、漢方の処方が1日平均100$以下。彼の24分の1以下。本当に自分の雑魚さに泣けてきます。
ちなみに月商にすると漢方薬だけの売上は23,602$=250万円です。
漢方薬を処方されている薬局でお勤めの方に教えていただきたいのですが、これは割と現実的に達成可能な数字なのでしょうか?
3、おにいちゃん、なんでホタル死んでしまうのん?
ちょっとお金の話ばかりして疲れたので、一回節子でも見て落ち着きましょう。
ご先祖様があって、僕らがいます。お墓まいりに行きましょう。感謝の気持ちと、日本人として清貧な心を取り戻しましょう。
4、これだけ売上げたら、どれくらい稼げますのん?
鍼治療、漢方薬処方のコミッション、ゲストからいただくauto gratuity(チップ代)、クルーズラインによってもコミッションも変わってきますが、大体は同じ。
この会社に長年勤めた僕の経験から試算したデータによるとこのNo. 1鍼灸師の月収は23,602$!
月収約250万円!!
僕らの契約は最低7ヶ月なので、年収にすると250万×7の1,750万円!
1,750万円手取り額でもらえるので、日本の額面の給料に換算すると年収2,900万円!
1年で7ヶ月働いて年収2,900万円!
これはどうなんでしょうか。夢のある数字とも捉えられますし、実際に船で働き、この数字を叩き出すことの難しさを痛感している僕からすれば、正直こんなものか。と思ってしまいました。
もちろん2,900万円もらえるなら僕はどんな汚い靴でもペロッペロ舐めますが。
最後に
船で働いていると、よく東南アジア出身のクルーが
「2、3回船で働いて両親に家を買ってあげたよー。」
なんて言っているのをよく聞きますが、上記の収入が得られ、3回の契約で5,000万円くらい日本円を貯められれば、武蔵小杉あたりにそこそこな家を建てれそうですね。
今回計算して思ったのですが、いくら大金を手に出来るとはいえ、これは明らかに自分の身の丈に合った働き方ではありません。
ストレスから常に口内炎と共に過ごすことが予想されますし、こんな文章を書いたり、Youtube撮ってる暇なんて絶対できないでしょうし、英語も、臨床も今がlevel20くらいだとしたら、60くらいまで上げないと達成出来ないでしょう。
そもそも結構貧乏な家庭で育った僕からすると、そんなに収入があってもきっと持て余します。
僕はいくつになっても松屋の牛丼が美味しく食べれて、ビンテージのワインよりサイゼのワインで十分で、住むところなんて6畳で十分な人間なのです。
そして前に書いたように僕は昔、船で売上を上げる鍼灸師達がマジでクソだと思っていました。
なので
「絶対に自分が売上を上げて、その立場からこの構造を否定してやる!」
というよくわからないモチベーションの元に、この数年頑張ってきた男です。
昔からあだち充さんの漫画が好きです。
あだち充の漫画の主人公はいつだって、がむしゃらに努力をしなくても才能はあって、その才能である程度のところまでは行くんだけど、その主人公を熱くさせるようなイベントがあって、天才が努力し、覚醒する。
そのようなストーリーに昔から心惹かれてきました。
僕は決して才能があるとは自分では思えませんが、努力が十分に足りているともまだまだ思えません。
そして今、僕の魂が面倒なことに静かにこう囁いてきます。
”売上一位になってから、売上じゃないよ。っていうのがチョーカッコ良くね?”
と。
とりあえずこの契約が終わる来月、しっかり考えて次の選択をしたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
またスキをしていただくと次の記事を書くモチベーションになりますので、よろしくお願いします。
では今日はこの辺でVon voyage!
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