ヤドンの魅力
まぬけポケモンのヤドン。この姿を見ていると、嫌なことやキツいことすら忘れて、だんだんどうでもよくなってくる。ヤドンは間抜けな顔をしていながら、無駄なエネルギーを費やさず、物事に過剰反応することがない。そういう意味では我々人間にとって羨ましい存在ではないだろうか。
ポケモン図鑑では、このように解説している。
正確には5秒たって徐々に痛みを感じるようになり、10秒たってはじめて痛々しい表情が出てくる。本当に鈍感なポケモンだ。
ヤドンは池や川を見つけては尻尾を使って餌を探し、食べて暮らす。ヤドンの尻尾は甘いと言われている。だから、生き物たちは甘いと分かっている尻尾をめがけてやってくる。だが、シェルダーが嚙みつくことに気づかぬまま、「ヤドラン」に進化してしまうこともある。実際に進化しても、間抜けな顔は相変わらずだ。自分が進化したことに気づかないのか。進化してもどうでもよいことだと達観しているのか。人間にとってはわかりにくい。
ただ、ヤドランに進化すると足腰の力が身につけられ、二足歩行が可能となる。手が使えるようになり、パンチ技が放てるようになる。攻守ともに優れたポケモンだから、それはそれで生き延びられるかもしれない。初期のポケモンのアニメで、6世となる西之森教授(キャラクター)がそのように解説していたのである。だが、素早さは遅い。シェルダーの重みのせいかもしれない。
やどかりポケモンのヤドランの尻尾に嚙みついてるシェルダーは何らかの理由で離れると、元のヤドンの姿に戻ってしまう。皮肉なことか、それとも運命の導きなのか。
ヤドンにはもうひとつの進化形態がある。ヤドキングだ。
おうじゃポケモンのヤドキングの解説は次のような記述がある。
元はヤドンだ。ヤドンが「おうじゃのしるし」という道具を頭にかぶり、そこにシェルダーが嚙みつけば進化する。ヤドキングはシェルダーが噛みついている状態であれば、脳に刺激を与え、高い知能を誇るようになる。「世界の知性」といっても過言ではない。普段は考えているようで考えていない。だが、シェルダーが頭をがっちり噛めば嚙むほど、毒素が染み込んで脳に刺激を与えることで思わぬ閃きを発揮するのだ。
バトルでは特殊攻撃力や特殊防御力に強く、バラエティーに富んだ技を覚える。ヤドランよりはヤドキングのほうが大いに活躍してくれるだろう。
だが、シェルダーが離れると、ヤドランと同じように元のヤドンに戻る。また、間抜けな顔を目の当たりにする。少々残念に思うが、どうでもよさそうな表情を見ると、「まあ、いいか。」と気を許してしまう。
我々人間にとっては世の中を生き急いでいるかもしれない。でも、ヤドンの顔を見ればほっこりする。日頃の疲れや嫌なことなんてどうでもよくなるのだ。ヤドンと一緒に仰向けになって休息を取れればよい。
今日(8月10日)はヤドンの日だ。ヤドンのようにゆっくりと穏やかな時間を過ごす日があってもよいのではないだろうか。そんな気がしてならない。