タイパ至上主義の違和感 ー若者はなぜ無駄を嫌うのかー
タイパ主義=無駄嫌いという発想
日本の若者たちの間でコスパ主義・タイパ主義が拡大して久しい。
上述の記事を読んで、私は唖然とした。ここまでタイパ主義を貫くのか。結論から言えば、徹底してムダを省きたいという若者の心境があるようだ。
老人の存在はムダ。病気で働けない者は納税できないからムダ。出産適齢期を過ぎた女性や独身者は少子化を防げないからムダ。これらの考えは危険極まりない。
もちろん、全ての若者がそう考えているわけではない。だか、この発想が罷り通れば大変な状況になる。
Z世代以降の若者はタイパ主義のほかに起業家のような「金儲け主義」を美化し、稼げる人間に価値があると考えているのだろうか。
その通りだ。経済合理性を重視し、時間を奪われることを嫌い、ムダなものをなくす。これで社会は成り立つのか。
若者はなぜ無駄を嫌うのか
Z世代以降の若者たちはなぜ無駄を嫌うようになってしまったのか。次の記事で彼らの価値観に触れている。
長きにわたる経済の低迷の中で生きてきた若者たちは失敗を避けたがる傾向にあるようだ。
イーロン・マスクは本当に信用できるか
それほどタイパ主義・金儲け主義を貫きたいなら、アメリカで働くことだろう。
アメリカは確かに日本より豊かだ。賃金は高水準。生産性は高い。IT企業やスタートアップ企業、またはシリコンバレーのようなグローバル起業家たちが集まる地域もある。経済的には恵まれた国だ。
アメリカで最も稼いでいる企業家はイーロン・マスク氏だ。日本の子供たちはマスク氏をヒーローのように目を輝かせている。10代から20代、30代の若者たちも憧れの的だ。理由は単純。稼ぐ力があるからだ。数十億以上の資産を持ち、世界でトップクラスの富豪に名が挙がっている。
稼ぐ力を身につけて、お金持ちになりたければマスク氏に弟子入りすれば賢明だと思う。
だが、マスク氏は金儲けのことしか考えない。仕事中毒とも呼ばれている。仕事の生産性が低ければ、即刻解雇になる。重宝されるほどの自信があるかどうかである。
しかも、ここ数年、右傾化している。2024年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏を支持しているからだ。マスク氏はトランプ氏が再び大統領になれば、ビジネスがしやすくなると考えている。また、次の記事で彼の政治観が露になっている。
人間的に多様性すら認めない男であることがよくわかる。果たして、日本の子どもたちや若者たちはマスク氏の発言に「いいことを言っているね。」と共感するのだろうか。
マスク氏でなくても、ジェフ・ベゾス氏やマーク・ザッカーバーグ氏などの企業家たちとてマスク氏と同じ考えを持っているかもしれない。彼らを支持するということは、弱い者たちの気持ちすら考えない。捨て駒にするのだ。
日本の若者も「稼げる人間は偉い。稼げない人間はムダ。」と決めつけていいのだろうか。
「無職」という生き方
最もタイパがよい生き方は無職になることだ。無職になれば、労働から解放され、自由になる。好きなことができる。
上記の動画は実業家のひろゆき(西村博之)氏とひげおやじ氏が配信する無職を肯定する番組だ。「無職」という生き方が今後の日本経済に良い影響を与えるかもしれないという可能性が込められている。この番組では数々の無職の人々がどんな人生を歩んでいるのかを紹介している。この動画はネット上で評判を呼び、書籍化する運びとなった。
最も無職になるには相当の覚悟と勇気がいるだろう。私にはそのような自信はできない。時間に縛られたくないのであれば、彼らの生き方からヒントを得ることになるだろう。
ご助言や文章校正をしていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。