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デンマークでの暮らしが幕を開けました!
「おもちゃ箱をひっくり返した街」とも言われるコペンハーゲン。
高すぎないカラフルな建物と優しい太陽の光と自転車をせっせと漕ぐ人の波がいつもの日常です。ただし、かなり風が冷たいので顔はかなりしかめっつらです。スーパーで60円で買った手袋はもう意味をなしていません。
そんなコペンハーゲンでの暮らしも3週間が過ぎ、慣れてきたこともあってやっと日常生活を楽しむ余白が生まれてきました。コペンハーゲンでの暮らしや何がしたいのか綴ってみたいと思います。
コペンハーゲンとの出会いは2023年夏。
ヘルシンキに大学のプログラムで訪れていたこと、中学生の時にトビタテ留学Japanという奨学金プログラムで出会った友達がコペンハーゲンに住んでいたこととがきっかけで、初上陸しました。
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街に降り立った瞬間、ヘルシンキとも何か違う、とてつもない充足感を感じたのを覚えています。そしてそれは3日間自転車で街中をぐるぐる回る中で確信に変わっていきます。観光客として、アウトサイダーとして街に訪れているのに、街から「この街で地元民と同じ目線で、心ゆくまで穏やかで心地よい時間を過ごしてください」と言われているような感覚に陥ったのを今でも覚えています。もちろん一緒に街を回ってくれた友達のセンスが素晴らしかったこと、暑くもなく寒くもないちょうど良い気候だったこと、いろいろな条件が重なって特別な思い出に残っているのは間違いないのですが…
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ロマンチストになりきって言うと、とにかくコペンハーゲンに対してどうしようもない運命のようなものを感じてしまったのです。
帰国してからも、どうしても「コペンハーゲンで暮らしてみたい」という思いがグルグルと頭の中を駆け回っていました。
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そのときちょうど私は福岡県糸島市のまちづくりプロジェクトに参加しており、参加型デザインのまちづくりや住民中心のまちづくりに興味を持っていました。文献を読んだり、書籍を読む中で、どうやらコペンハーゲンはまちづくり的にもすごいところなのかもしれないことに気づいていきます。私が実際に訪れた際に感じたあの感覚は、偶然ではなく確かな都市計画とデザインによって生み出されていたのです。
積極的に屋外で過ごしたいと思えるまち、心地よい距離感でコミュニケーションが取れるまち、日々の暮らしを自分たちの手でより良くできるまち。
そんなふうにヒューマン・スケールで人間中心設計で、そこで暮らす住民のことを第一に考えてデザインされた街コペンハーゲン。9月に感じた衝撃から、文献を読み他人の言葉を借り学びを深めるなかで「なぜコペンハーゲンのまちはあんなに心地が良いのか知りたすぎる」という欲望に駆られていきます。
そしてそんな感情先行で動いていく私の頭は「ならデンマークの大学に交換留学をしよう」と思い立ちます。私が通う学部は留学が必須という国際色豊かな謎学部なので、交換留学の提携先が世界各地にあります。
ただその制度を使ってデンマークに留学に行こうと思い立ったのも束の間…提携先の大学にデンマークがないことに気づきます。
デンマークに行く手段は他にないか。
そう思ったとき私の頭に高校生の時にトビタテ留学Japanでニュージーランドに行ったことが頭をよぎりました。
トビタテ留学Japanとは文部科学省が行なっている留学キャンペーンで応募者自身が、留学場所も留学期間も留学内容も決められるとてもユニークな奨学金制度です。
「トビタテなら大学に行かない留学も認めてもらえる。企業でのインターンやボランティアをしにデンマークに行くことはできるかもしれない」
そう思った私は大学の学務に大急ぎで駆けつけ「トビタテ出します!」と宣言。ただ宣言をしたのはをしたのはいいものの、学務の方には「あーまだ応募始まってないですね」と苦笑いをされ、資料だけいただいて学務をあとにしました。とことん感情で動くタイプのようです笑
そしてそこからはトビタテの一次審査に向けての怒涛の書類作成。毎日マクドナルドに夜中まで篭って書類を書き直していました。無事一次審査が通ったのも束の間、次の審査まで3週間しかないというのに、ノリで決めてしまった台湾登山遠征で1週間台湾へ。留学に行けるか行けないかの瀬戸際で、東アジア最高峰に登頂成功していました。
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帰国後二次審査の書類を完成させ、無事6月末に審査が通ったという報告を学務からのメールで受けます。
「やっとデンマークにいける」
夢が叶ったような感覚でした。
ただその時の私はデンマークにも行きたいけど、交換留学で大学にも行って学んでみたい。そんな思いから、昨年9月から半年交換留学、半年トビタテでインターン留学をする無謀な計画がスタートしたのでした。
まず最初の行き先はハンガリー ブダペスト。
誰も知らない誰も行かないそんな東欧ブダペストで暮らすことにワクワクしてしまったのです。
ハンガリー留学について少し綴っています。
そして、今年の1月末ブダペスト生活に終わりを告げ、北欧コペンハーゲンにやってきました。
コペンハーゲンでの目標は「コペンハーゲンのまちづくりについて実生活を通して洞察を深める」ことです。公共空間や都市計画、参加型デザイン、コミュニティスペースなどをキーワードに学びたいと考えています。あのとき抱いた衝撃を言語化していく、データを元に裏付けしていくことが目標です。
そのための手段として、現在は北欧研究所という日本企業からの委託を受けて北欧に関する研究・調査をおこなうシンクタンクでインターンシップをしています。
業務としては、北欧研究所の調査研究サポートを行っています。企業からの委託を受けて、環境・エネルギー、高齢者ケア、デジタル分野の調査・レポート執筆、インスタグラムの運用などを行なっています。
また、北欧研究所では調査研究サポートに加え、自分の興味のあるテーマについて個人研究をすることができます。私は今のところ「コペンハーゲンにおける墓地の公共空間的活用の研究」について研究しようかなと考えています。
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こちらに来て気づいたのですが、コペンハーゲンの墓地は、単なる弔いの場にとどまらず、公園のように日常的な憩いの場として利用されています。参拝だけでなく、犬の散歩、ジョギング、読書、ピクニックなど、多様な活動が見られるのです。日本では墓地は静粛で閉ざされた場として認識され、日常的な公共空間としての利用はほとんど見られません。またコペンハーゲン市役所のHPにも「Kirkegården er også for de levende. I København færdes mange andre end gravstedsejerne på kirkegårdene, og alle er velkomne(訳:墓地は生きる人々のための場所でもある。コペンハーゲンの墓地には、墓の所有者だけでなく多くの人が訪れ、誰もが自由に過ごせる。)」と書いてあるのです。
研究を通して、死と生が交差する場としての墓地が、新しい公共空間となるプロセスを明らかにできたらいいなと思ってます。またnoteでも詳しく研究内容について書いていきたいと思います。
また日々の暮らしについてですが、日本人とデンマーク人のハーフの女性のお家を間借りさせてもらって、シャイな猫と2人と1匹暮らしをしています。デンマークで暮らすってこういうことかあという北欧暮らしのコツを日々集めています。いつかnoteでも書けたらいいなあ。
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今後は、デンマークで見た面白いまちづくりの事例についてもnoteで触れていけたらいいなと思っています。
次回以降も乞うご期待!