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上質なエンタメ(vsFC東京)
「めざわりだ」といわんばかりだった。FC東京の森重真人が、ぼくたちのだいじなだいじな満田マコをつきとばした。前半16分、マコがカラダはってとったフリーキックのシーンだ。それもペナんなかで、三度も。満田は一度目はよろめき、二度目はこらえ、三度目はにらみかえした。
そこに、キッカーのモリシがボールをけっとばすのと同時、まあまあないいきおいで荒木隼人が突進してきて、青赤の背番号3をおもいっきり轢きつぶした。
東京のキャプテンは一度「ファウルだろ!」とキレたあと、ピッチにたおれこんだ。荒木のほうはしらん顔だ。その一連をDAZNで観て、ぼくの中のリトル・ミハイロペトロヴィッチが「Bravo!」と歓声をあげた。
なにが「Bravo!」か。まずは森重真人。直前のボールへの寄せっぷりでケンカ相手としてマコを認識してくれたのか、それとも若いやつに一発かましてやろうとしたのかはわからないけれどよく手をだしてくれた。ああでなくては。こっちがしっかり腹をたてさせてもらえる、まさにお手本のようなヒールっぷり。
満田の受けもよかった。つきとばされても大げさにたおれず「なんだこのオッサン」と牙をむくすがたはカッコよかった。ルヴァンカップで吉田豊にくらいついたときといい、さすが流通経済大学蹴球部キャプテン、たたかえる男だ。
そしてなによりも「Bravo!」だったのは森重をつぶした荒木。あれにはほんとにスカっとした。この際荒木が意図していたかどうかなんて関係ない。というかおそらくリプレイを観るかぎり意図はしていない。でもあれはもう"後輩が世話になったお礼"にしていい。そっちのほうがより豊かだ。
そもそもぼくたちはもともとガラがよくない。フェアプレー賞をいただいていた時期だって青山さんの手癖はサイアクだったし、航平は相手をけずってあおってキレさせていた。ミカはクレーマーで、陰湿武闘派・森﨑カズもいた。そんな彼らの狼藉のひとつひとつに心をふるわせていた身としては、あんな戦闘民族同士のやりあいをみせられたらひとたまりもない。
しかもこの日は森重にしっかりヘッドをブチこまれるっていうオチまでついた。それがまた心底くやしくってくやしくって。くやしすぎてて逆に興奮した。戦闘民族としての格のちがいをみせつけられた気がして、でも、今度あうときまでおぼえてろよといいたくなる一撃。
FC東京戦は、現地ではしゃいで、DAZN見かえしてもっかいグッとくるという、ひとつぶで二度美味しい、ぼくにとって上質なエンタメなゲームだったということで、ほんと、ごちそうさまでした。