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あなたもか、志知さん(vs横浜FC・ルヴァン杯)

 目じりのあたりが腫れあがって痛い。PCの前で、ぴりぴりかゆくてたまらない目を見ひらいて観たルヴァンカップ・横浜FC戦は、ぼくの悲惨な目もととはちがって、なんともステキなゲームになった。

 大学時代から観てておもいいれのつよい山﨑大地さん、彼のチームを前にすすめるプレーは秀逸だったし、復活した鮎川峻さんはよりかしこくよりパワフルになってかえってきた。そしてなにより改良された広島のエンジンの健在っぷりたるやもう! あとゲームではないけれど、INSIDE SANFRECCEにほんのちょっとうつりこんだ、2本の足でしっかりたつわれらが25番さんの黒ジャージすがたに、心がかるくなったりもした。

 どれもステキなゲームを彩るステキなこと。でもじゃあいちばんなにが心にのこったの? ときかれると「志知さんの鼻にはられた鼻腔拡張テープ」だったりする。「そっか。あなたもか、志知さん」って。この時期にあのテープを貼る理由なんてひとつしかないでしょう。なんだかとたんに精神的に距離がちかづいた気がした。

 サンフレッチェで「あなたもか」って選手けっこういるっぽくて、毎年この時期、彼らが症状にくるしみながらも、それでもプロサッカー選手として(一見すると)まともにプレーしているのを見ると、すごいなとおもう。すごいどころか「ヤツらは超人か」とびびります。ほんとどうかしてる。

 ぼくの場合、2月くらいからまず目がかゆくなって、つぎにくしゃみ。そこからくしゃみの数がだんだんふえてきて、ついには文字どおりとまらなくなる。そうなったらもうおしまい。くしゃみには鼻水がつきもので、鼻水がでるなら鼻づまりもまた必然。それでもなおくしゃみは容赦なくつづき、あふれた鼻水はノドにながれだして、粘膜をあらす。そこに細菌がまぎれこみ、こんどは咳。おまけに微熱も頭痛まで(感覚なので医学的根拠はありません。あしからず)。

 こんな状態でボールけっとばして、ピッチをかけずりまわる? バカいうなである。しかも選手は市販の薬もうかつにのめないときている(ゆるすまじドーピング検査)。ふつうならサッカーなんてムリよムリ。

 選手はだから前もってお医者さんに相談して、あの手この手と対策をたてるという。食生活の改善、免疫をたかめる薬?の注射、日々のストレスをやわらげるための生活習慣の見なおし、などなど。志知さんの鼻腔拡張テープもその涙ぐましい対策のひとつ。ただでさえアスリートはコンディションをととのえるのにやらなきゃいけないこと満載だというのに、そんなことまでしなくてはいけないなんて。まったくなんという仕打ちか。

 でも彼らは、そんな苦境にもまけず、たちむかい、平然とプレーして結果を出している。おそろしい。まさに超人。つまり志知さんの鼻のテープは、超人の証でもある。ぼくの心にのこるのもとうぜんのこと。

 入場まえソワソワがとまらない大地さんをイジってるときも、なれないポジションをソツなくこなしてるときも、ぶっきらぼうにインスタのストーリーを更新するときも、つねに症状とむきあっていた志知さん――そうかんがえると、なんだか涙と鼻水がだらだらとあふれ出してとまらない。胸と鼻のつまるようなおもいでいっぱいになった。(※)

(※)これで志知さん、単に鼻づまりしてただけとかだったら……いやそれはそれでおもろいからいいか。

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