無敵の人好き
仙波大志は無敵の人好きだ、とおもってる。
だれかのことをスキだって気もちをストレートに、てれもせず、ひねくれることなく、全面に出す。きらわれたらどうしようとか、ヤなこといわれて傷つくのヤだなとか、躊躇するかんじは一切ない。まずスキだって自分の気もちを全力で表現するのが最優先。つよい。まさに無敵。
そういうところがいちばんでてたのが、トレーニングの生配信の荒木とのからみだった。
息をすうみたいに荒木センパイの手にふれ背中にふれ、もたれかかり、スマホをのぞきこむのにかこつけて腰にしかっとしがみつく大志。あれは昭和うまれからするとありえない距離感。
でもよこにいた藤井くんはノーリアクションだし、荒木も荒木でぜんぜんウェルカムだったから「ああ、そういうもんか」なんだか納得した。単にスキだからそうしてるだけなんだと。だとしてもすごいな、仙波大志。ど直球。シュート回転しない、きれいながバックスピンかかったまっすぐな愛情表現。まさに敵なしである。
だからこっちも安心して「まってくれ、なにしてんだキミは!」「っていうかこれはなにを見せられてるんだよ!」と大はしゃぎさせていただけた。その節はごちそうさまでした。
大志の、そういうまっすぐなところ、屈託のなさみたいなのって、もしかしたら彼の、選手としてのつよみでもあったりするのかなあなんて、書きながら、ふとおもった。
あれだけまっすぐに好意をよせられれば、まわりだって悪い気はしない。で、サッカーやらせりゃしぬほどうまいのはわかってるわけだから、みんな彼にパスをだしたくなるだろうし、また大志も大志で、大スキな仲間のために、もっとうまくマークはずそう、ボールきたら前をむこう、いいパスをとおそうとがんばる。でどんどんチームの血のめぐりもよくなっていく。
所属したチームでそういういい循環を、ひとにたいする"スキ"を表現することでつくってきた選手なのかもなあと。
荒木と藤井といっしょにいたときのあの、おもしろだけではない、おおらかな空気感も、大志の"スキ"きっかけなんだとぼくは勝手におもいこんでる。タイプはちがうけれど、千葉ちゃんとダイキニワ並に、チームの空気をかえられるひとな気がしている。
だから大志には、ぜひその無敵の"スキ"で、ほかの選手たちの意識をそとへむけさせてもらいたい。うちの選手はひとり苦行にたえる修行僧みたいなひとばっかだから、油断するとすぐ自分とむきあいだしてまわりがみえなくなっちゃう。そこをとにかくなんとかしてほしい。
去年佐々木翔がぼやいてた、選手同士の理解って部分も、大志がいろんなひととからんでいくことで、改善してくとおもう。サンフレッチェ、なんかいろいろだいじょうぶかも……? なんて楽観がすぎるかしら。
まあこれでみんながみんな大志みたいにイチャつきだしたら、それはそれで対処にこまるんですけどね。