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ハヤオ珠玉の3ゴール - サンフレッチェとわたし40
午前2時。洗濯機の中の、水をたっぷり吸ってひとつの塊みたいになっている大量の洗い物どもとご対面。乾燥、しそこねてるじゃないですか。寝落ちしちゃったよ……。時間が時間なだけに洗い直しもできない。とりあえず洗濯槽に居座るびちょびちょな塊とひと晩を過ごすことになった。
洗濯して乾燥せず。最後の"詰め"をしくじったわたしは、いわば決定的なチャンスをハズしたFWだ。天をあおぐ寿人、絶叫するチュンソン、悔しさを押しころして切り替える渡である。「あとは決めるだけだったのに」とカッチョよく悔しがる彼らに習い、わたしも「乾燥のボタン押すだけだったのに」と腰に手を当て、デカめのため息をついてみせた。そんな深夜2時。
FWに限らず"詰め"の部分をしくじった選手を見ると、愛おしさがあふれて抑えられなくなる。とても他人事には思えない。
チームが一生懸命ボールをゴール前まで運んできてそれを台無しにしたときの「あーぁ…」スタジアム中のガッカリに晒されているのを目の当たりにすると――もちろん応援してるぶん悔しいは悔しいんだけど――「まったく、しょうがないやつめ!」とついつい笑みがこぼれてしまう。
それでいうと去年の川辺駿の惜しいっぷりはまさに"Bravo!"であり"ラブリー"だった。何度「しょうがないやつめ!」とニヤニヤしたことか。裏に抜けだせばコントロールミス、ミドルを撃てばDFの足に引っかかる、スルーパスもあと一歩届かない。絶妙なまでになにかに見放されていた。技術的というよりかもはや応援してるこちらに問題があるんじゃないかと思うほど。たとえば日々の行い。コンビニのレシートをポイ捨てしたとか、蟻さん踏んずけたとか。
それでも謎の逆風にも負けず、最終的には3ゴール決めるのだからたいしたもの。3つではもの足りないという見方もあるかもしれないが、この3ゴールはそんじょそこらの3ゴールとはワケが違う。数多の決定機を逃して悔しい想いもたくさんしたハヤオ。一生懸命練習にも励んだだろうし、いろんな工夫もしたと思う。わたしのほうも、レシートをちゃんと捨てたり、それこそレシート落ちてたら拾ってゴミ箱に捨てたりした。蟻さんの行列を踏まないように気を付けもした。その果てにゲットした3ゴールである。どんな2ケタゴールにだって負けやしない。珠玉の3ゴールである。