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わるいひと(vsアビスパ福岡)

 あのファウル未遂がわざとだったら、おもしろい。

 あのファウル未遂とは、ルヴァンカップ準決勝第2戦、前半24分07秒の柏好文さんのチャージのこと。ウチのペナルティエリアでフリーだったクルークス選手をうしろからつっついて、たおしたやつ。

 はじめ見たとき「なにしてんだよばかたれ」とさけんだし、そのあと「オフサイドか~そうだよな、でもよかったあ」と安心もした。でもすぐに「そもそもなんであんなことしたんだろ」と気になった。このゲームとおして柏好文さんはおちついたから、なおさら違和感があった。

 じっさい観なおしてみると、柏好文さんは、まえのプレー、ルキアン選手にタテのパスがはいった段階でオフサイドだと察していたようだった。自身の認識としてもそうだったんだろうし、逆サイドのガミさんがアピールしていたのが目にはいって、ほぼほぼ確信したんだともおもう。

 ここからはかんぺきに妄想。

 オフサイドだとわかって、クルークス選手にパスがわたりそうになったとき、柏好文さんはちょっといじわるをしてみたくなった。ここでうしろからいって、アビスパの選手たちに「PKか⁉︎」と期待させてみるのはどうかと。

 複数得点をとらないといけないアビスパの選手を一瞬よろこばせてから、即がっかりさせる。おちょくってやろうというのだ。なんて悪趣味。サッカー選手としてのキャリアのほぼすべてを、相手の逆をついてぶちぬくことについやしてきた柏好文さんなら、じゅうぶんありうる話。

 わきあがるワクワクをかくしながら柏好文さん、ドンっとうしろからいく。"想定したとおり"にクルークス選手がたおれる。すぐに「ファウルじゃないよ」とアピール。でも内心は「わかってます、そのまえにオフサイドですよね」。副審はフラッグをかかげ、オフサイドを指示。素知らぬ顔をしていたけど、もうたのしくてしょうがなかったはず。

 ……なんてのはぜんぶ妄想だ。おまえの柏好文のイメージはどうなっとんだ、とおこられそうだけど、ぼくとしては、すみませんこんなんです、と平謝りするしかない。でもそれくらいいじわるじゃなきゃ、あの年齢までドリブラーでやってこれなかったともおもうのだ。

 だからぜひわざとであってほしい。


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