井上潮音さんゆかりの地でこっそり初詣
冬らしい、いいお天気の日だった。見上げれば、ペトロヴィッチさんが率いてたころの浦和レッズに勝った翌日みたいな清々しさが青空に広がっている。こんな日に外に出ないなんてもったいない。まずは大スキなラーメン屋、らーめん文蔵を目指し中央線で三鷹に向かった。三鷹の森ジブリ美術館の三鷹である。
駅の南口を出てまっすぐらーめん文蔵へ。文蔵は、お魚と動物のスープが特徴。すこし舌触りがあって、でもさらっといける。こういうしつこくなく、かといってさっぱりもしすぎない風味は、湿り気をすっとばした快晴の日によく合う。注文したのはつけめん。太い麺が白いお皿の上でぴかぴか光る。それをざらっとしたつけ汁にくぐらせて食べる。これがまたたまらん。
2025年初文蔵にごちそうさまをして外に出ると、日があがってぽかぽかしていた。おもわず選手も御用達のナイキのネックウォーマーをはずす。すこし汗ばむ首筋に冷たい空気が気持ちいい。絶好の散歩日和。ちょっと歩きましょうか。ちょうどアテもあることだし。
アテはこの2カ所。三鷹市立第六小学校と第一中学校。ことしサンフレッチェにきた井上潮音さんの母校。出身は神奈川だけれども、ここ三鷹で育ったとのことで、まさかおんなじ中央線沿線民。一気に親近感がわいた。それで文蔵ついでにかれのわずかな足跡をチラ見してやろうというわけだった。
といっても、べつになにかをするわけではない。校門を横目にしてただ通り過ぎるだけ。そらそうよ。学校の前でスマホで写真撮ったり、むにゃむにゃ拝んだりしてたらそれこそやばい。社会不適合者の自覚はあるけれど、そこは死守したいライン。なんにせよ気色悪いのは認めますが。
そのままぶらぶら歩き、襟もとをぱたぱたさせながら、潮音さんはなんでサンフレッチェを選んでくれたんだろう、とかを考える。ヴェルディ出たときの記事を思い出しながら、うーんと首をひねったりなんかして。
どうせ考えたところでわかりやしないのにね。ご本人も胸のうちを口にするタイプでもなさそうだし。それでもそのうちっかわをのぞき見したくなるくらいには、すでに井上潮音って選手を身近にしてしまっている。われながらチョロい。
1時間ちょいうろうろして、宅配物の時間指定もあるのでここらでおひらき。三鷹散歩のシメはここ。
このマンション、その名も"サンフレッチェ連雀通り"。広島に縁もゆかりもないこの三鷹でなぜサンフレッチェ。偶然というにはさすがに無理ある。いったいどんな経緯があるのか。いまだに知らない。
ぼくにとってここはいわばホームスタジアムの"遥拝殿"。遥拝てのは、はるか遠くから拝むことで、その"殿"だからつまりそのための建物。たとえば伊勢神宮遠くて行けねえなってひとが近くの東京大神宮で手をあわせる、みたいな。この場合でいえば、広島遠いなっていうぼくのための建物ということになる。
この遥拝殿でも、井上潮音さんの母校のときとおんなじ、足は止めない。前を通り過ぎながら会釈するだけ。こっそり初詣の気分を味わう。エディオンピースウィングスタジアムに初詣してるサポーターさん、うらやしかったんですよね。
どうかことしもサンフレッチェにいいことありますように。井上潮音さん加入でサンフレッチェみが増した三鷹から、お祈りもうしあげます。