中小企業も「ビジネスと人権」対応を!
企業活動における人権の尊重が注目されています。
国際社会では、1999年、コフィ―・アナン国連事務総長が「国連グローバル・コンパクト」を提唱しました。グローバル・コンパクトは、企業に対し、「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」に関する10原則の実践が要請されています。
2011年には、国連で「ビジネスと人権に関する指導原則」が作られ、企業活動における人権尊重の指針となっています。
国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」では、人権を保護する国家の義務とともに、規模の大小を問わず、企業が人権を尊重する責任を明記しています。また、2022年には、日本政府も「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定し、企業の人権尊重に対する高い期待を示しています。
今、中小企業にもとめられていること
「ビジネスと人権」は大企業だけの問題ではありません。サプライチェーン全体における責任が求められるため、中小企業もその一員として責任を負うことが期待されています。特に国際的な取引がある場合や大手企業と取引する場合、適切な対応がなければ取引先の信頼を失うリスクがあります。
さらに、従業員の定着率や企業イメージにも大きく影響します。
中小企業も取引先からのアンケートが来たり、認証を取得すうよう促されたりというご相談が増えています。ビジネスと人権対応への要請に応えなければ取引継続が難しくなることが予想されます。
大事なことは、取引先からの要請に応えるためだけでなく、自ら積極的に取り組むことです。「ビジネスと人権」への取り組みは、企業の評判の向上やビジネス機会の拡大、優秀な人材確保による生産性向上等をもたらし、企業の持続的成長を促進します。
企業による人権への負の影響は多岐にわたるため、優先して対応する負の影響の順位付けを行うことが有用です。
企業による人権尊重への取り組みの全体像
企業が取り組むべき人権への負の影響を防止・軽減するための取組には、柱が3つあります。
1. 人権方針の策定
企業は、人権を尊重する方針を明確にし、公表することが求められています。人権方針は、企業の経営理念と整合性を持ちながら、従業員や取引先、顧客などに対する人権に関する企業の期待を明示するものです。これにより、企業の全体的な方向性が明確になり、外部に対してもコミットメントを示すことができます。
2. 人権デュー・ディリジェンス(DD)の実施
人権デュー・ディリジェンスとは、企業が自社の事業活動やサプライチェーンにおける人権リスクを特定・評価し、そのリスクを防止または軽減するための取り組みを指します。具体的には、以下のステップを踏むことが推奨されています。
人権リスクの特定と評価: 企業の事業活動や取引先における人権侵害リスクを洗い出し、重大性を評価します。
リスクの防止・軽減: 特定された人権リスクに対して、適切な防止策や改善措置を講じます。
リスク管理の実効性評価: 取り組みが有効であるかどうかを定期的にモニタリングし、必要に応じて改善を図ります。
3. 救済措置の提供
企業が人権侵害を引き起こしてしまった場合、企業は被害者に対して救済措置を提供する責任があります。救済には、金銭的賠償や謝罪、原状回復などが含まれますが、被害者が求める救済が効果的であるかを理解し、その要望に応じた対応を行うことが重要です。
具体的な取り組みの一歩
企業が「ビジネスと人権」に取り組む際、最初のステップとしては、自社の現状を把握し、人権リスクが存在する可能性のある分野を特定することです。その後、社会保険労務士法人ハーネスなどの専門家と相談し、具体的な取り組みを開始することが推奨されます。
社会保険労務士法人ハーネスと共に取り組むメリット
社会保険労務士法人ハーネスでは、企業が「ビジネスと人権」に関する対応を円滑に進めるための包括的なサポートを提供します。特に中小企業向けに、負担を最小限に抑えつつ、現実的なアプローチで人権リスク管理を進めるための実践的なアドバイスを行います。
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