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ほぐしやの風景に叡智の道あり~癒され上手の道もあり

リンパ療法士のわたしだが、週に3日は委託業務で市内のとあるリラクゼーションを提供する店で働いている。
最近は梅雨の気圧の変化に悩まされているのか、特にお客さまの来店が多い。

施術を受けるお客さまには2つのタイプがいらっしゃる。

施術を受けるのが上手いか、下手かだ。

わたしたち提供者の技術に差があるのは勿論だし、スタッフとお客さまの相性もあるのだが、実は受けるにも上手な受け方というものがある。
今日はそんなお話。

結論を話してしまえば、上手な受け方というのは施術者にからだを預けてくれる人だ。
ことばで明瞭に表現できるものでもないのだけれど、自分を切り替えるようにそれまでの力みを手放し、ここで起こる変化を受け入れようと開いてくれる。

そうするとこちらの押圧にもみるみるからだが反応して、次に施術するべき場所を教えてくれる。
どんどん緩んで、緩むからもっとからだも自由に「治るための働き」を自ら取り戻していく。

そういう人を見るとうまいなぁと思う。
あまり来慣れてはいなさそうなお客さまには「お上手ですね」と声をおかけする。誰もができることでもないから、特にカチカチが常の人たちはオンオフの切り替えが下手な人も多いから、上手なことはお伝えする。

先日は面白い人を目にしてしまった。
店舗内ではオープンからのスタッフであるわたしだが、それでも初めて見た光景。

それは別のスタッフのお客さまだったのだが、みれば足つぼを受けながら仰向けで本を読んでいるではないか!

いや、むしろ腕疲れますよね!!?

なにをそこまでして読んでいるのかと思えば。
なんとそれは足裏セルフケアというようなタイトルの、要はツボの解説の本だったのだ。

そうして読みながらスタッフに指示を出している。

「うん、今のところのもう少し右をやってみて」
「ここですか?はい、この間やったとこですね」

そのスタッフさんはこの業界に関わった年でいえばわたしよりも先の方。
病気で離職していたりブランクはあるが、このタイプの店としてはベテランだ。
機械的な施術でなく、お客さまに合わせた施術を提供できる腕もある。
時折口を挟んでいるだけではあったが、正直

なんて勿体ないことしてるんだろうなーと思ってしまった。

自分が最高のサービスを提供する憧れのレストランにやっと予約できたとする。
そこは自分の好みも熟知してくれていて、オーダーをだしさえすれば最高の形で叶えてくれる。
でも、オーダーを出した途端、あなたは迷いだす。隣のテーブルの料理が美味しそうに見える。注文をキャンセルし、あなたは細かく指示を出し始める。料理に合わせて用意されていた最高のワインも下げられ、その日にぴったりの好みに合わせた最高の料理はあなたが指定したように迷った形で叶えられる・・・

ノウイングスクールでゲリーが教えてくれたたとえ話だ。この例えは叡智に満ちたことばで締めくくられているが、それはわたしからこの記事で伝えるべきことではない。

わたしたちの提供するものが最高のレストランの接客に足るものかはわからないが、そのお客さまを見ていてなんとなくこの例えを思い出してしまった。

そのお客さまの行動は笑いごとのようだが、振り返ると一層身近に迫って、誰にでもあり得る行為なのだと実感させられて怖い。
わたしたちは思い通りに振舞ったような気でいて、用意された最高のものを棒に振っているかもしれないのだ。

それはともかく、おなじ対価を払うなら気持ちよくほぐされたいもの。
冒頭に書いたが「施術者にからだを預ける」というのは一部の人には難しかったり想像すらつかないことだと思う。

こころを許して身構えないこと。というと的確ではないがイメージとしては伝わりやすくなるだろうか。
実際のところ、刺激に対して身構えるのは人間として当然の反応。だからこそ「すごい!」

簡単なことではないかもしれないが、せめて施術中は呼吸を意識してみて。
いままでと違う感覚で受けられることで、リセットしやすいからだへと感覚が開いていくかもしれない。

Good night!

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