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今週のプライシングトピックス(12/17)

1週間のプライシング関連の注目ニュース・事例などをまとめ、紹介するニュースレターです。

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昨日、今年初めての「良いお年を」のご挨拶をしました。街中にもイルミネーションが点り、街中を歩く人も心なしか足早に歩いているように感じます。店先でも年末用品の存在感が増して、いよいよ2021年の終わりも近づいているようです。

そんな1週間のなかから注目のトピックスをピックアップしていきます。


ドラッグ店株など下落 原料高、価格転嫁進まず:日本経済新聞

ディスカウントストアやドラッグストアの株価が軟調だ。食料などの原料高を店頭価格に転嫁できず、収益が圧迫されると懸念されている。「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(HD)の株価は13日に年初来安値を更新し、11月末と比べると1割ほど下落している。大型施設を展開するイオンなどは収益を確保できるとの期待から株価は堅調で、小売り株では明暗が分かれている。

ディスカウントストアやドラッグストアは、お菓子やお茶などスーパーよりもさらに安く売られていることが多いですよね。まさに薄利多売のビジネスモデルですが、そのイメージゆえに価格に転嫁し辛いとの見方のようです。

ドンキホーテでは、ダイナミックプライシングの導入も実証実験が行われているなど、価格への工夫も進んでいるようですが、それらの対応にもスピード感が求められる市況になっているようです。


日銀短観 企業が原材料高騰を販売価格に転嫁しきれない実態 :NHKニュース

13日発表された日銀の短観=企業短期経済観測調査で、企業が原材料の高騰を受けた仕入れ価格の上昇を、製品などの販売価格に十分転嫁しきれていない実態が浮き彫りになりました。

1つ目のニュースに関連する記事。日銀も警鐘を鳴らしています。製品やサービスなどの「販売価格」も仕入れ値の上昇率と比較して小幅に止まっているとのこと。「企業努力」でなんとかできる限界値ももうそこまできているのではないでしょうか。「適正な価格」づけを見直す機会が訪れているのかもしれません。

弊社のレポートですが、参考資料としてどうぞ。

ファストリ、一部値上げも 岡崎CFO「素材高は長期化」:日本経済新聞

原材料や人件費などのコスト高は長期化するとの認識を示し、一部製品の値上げも視野に入れていると明らかにした。岡崎氏は「商品のラインアップを絞り、付加価値を高めて値引きを抑える」方針を示し、2022年8月期は国内事業の減収減益も容認しながら構造改革を進める。

今や日本人なら誰でも1度は身につけたことがあるブランドではないでしょうか。今年の頭の値引き戦略により減益となったユニクロは、今回一部値上げ/品番を減らす/値引き抑制の方向になるとのこと。

高品質低価格のユニクロも原材料高騰を受け、価格に反映させる取り組みをする様子。この後の動きに注目です。


月額150万円超の負担増 物流増えるクリスマスに年末年始 高いガソリンで減る利益:STVNEWS

クリスマスや年末年始の輸送量が増える時期に原油高が直撃。(中略)この会社では約100台のトラックを所有していますが、燃料費は去年に比べると月に150万円以上も増加しているといいます。

寒さの厳しい北海道や東北地方にとって、車の燃料としてだけでなく、冬の暖房に欠かせないものです。その値上げはダイレクトに消費者の生活に響きます。物価と共に人々の所得も向上しなければ、日本の経済は世界に大きく取り残されてしまいそう。


毛皮離れ進むファッション界 エシカルな消費文化に商機 デンシバSpotlight:日本経済新聞

アルマーニやグッチなど、世界的なファッションブランドで毛皮(リアルファー)の使用を避ける動きが本格化しています。動物愛護の機運が消費者に広がっているからです。各ブランドには先行的に「アニマルフリー」を達成し、新たな消費文化を創りたいという思惑もあるようです。(中略)「企業だけの責任ではなく、使う側の消費者にも責任がある。消費者が変われば企業も変わります。消費者の積極的な関与がこれからの持続可能社会に求められます。」

少し視点の違う記事を。

近年エシカルに対する意識が世界全体で高まっているように感じます。消費者側の意識の変化は供給側の企業を動かすことができます。また、エシカルである、という価値に対して払う価格はバリュー(価値)ベースで設定されているものもあるでしょう。

何に対価を払うかを消費者が考える機会がふえることで、供給側ももっとバリューベースでの価格設定が可能になるのではないでしょうか。

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「いいものを安く」売りすぎている日本。適性なプライシングの専門家がいる意外な業界とは…?:ダイヤモンド・オンライン

今週14日に刊行された弊社CEO松村の書籍「新しい『価格』の教科書」の発売記念として行った、慶応SFCの経済学者 琴坂准教授と松村の対談が記事化されました。

ぜひ、本と合わせてご覧いただけると幸いです。

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