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【患者さんの声】精神疾患と上手くつきあっていくための課題

今回は、小学5年生のときに社会不安障害、うつ病、パニック障害という3つの精神疾患を発症した久保 諒さんにお話しを聞きました。
発症した頃は食事が摂れない、水分が飲めないといったつらい症状に悩まされたそう。でも、今は治療を行って、友人や職場の同僚など周囲の温かさに助けられて病気を受け入れながら生活しているとのこと。これまでの生活や治療を継続していく上での課題、病気との付き合い方についてお聞きしました。

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———まずは、久保さんのご病気と発症したときの状況や症状についてお聞かせください。当時の抱えていらした思いもあればぜひお聞かせいただきたいです。

私は小学5年生の冬に社会不安障害、うつ病、パニック障害を発症しました。何も食べられないし、水分も摂れなくなって…そんな状態が一週間くらい続きましたね。

ちょうどその年の秋に両親が離婚して母が精神科に入院したので、母の実家で祖父母と暮らしていたんです。通学中の電車やバスの中で嘔吐するのではないか恐怖を感じるようになって、それから食事や水分が摂れなくなりました。一週間くらい、何も食べられず飲めない状態になって病院へ行き、診断を受けたのです。

発症後は祖父母が車で学校まで連れて行ってくれましたが、給食が食べられなくてつらい毎日だったことを覚えています。唯一食べられたのが崎陽軒のシウマイ弁当だったんですが、やはり祖父母の家を離れると何も食べられなくなるんです。病気になってから小学校生活は楽しめませんでした。修学旅行も食べ物や飲み物が口にできないのではいかという恐怖がありました。

———小学生のときにとてもつらい経験をなさったのですね。中学以降も同じような症状が続いたのでしょうか?

中学生になってからも症状は続きましたね。なかなか食べられない日が多く、友人との外食なども吐いてしまうので避けていました。友人に迷惑をかけてしまうのではないかという恐怖がありましたし、そんな状態でも自分一人でなんとかしなくてはという強い気持ちもあったので友人と遊ぶのは極力控えていました。

それから治療の効果が少しずつ出てきて外出先でも食事ができるようになって…突発的に症状が出ることはあるのですが自分自身が病気を受け止められるようになったので、吹っ切れて病気と上手く付き合いながら生活しています。

———病気を割り切って考えられるようになってから、どのようにこれまで生活してきましたか?

病気を受け入れられるようになっても、中高生活は十分に楽しめなかった部分もあります。仲の良い友人もできて楽しかったのですが、遊びに行ったり文化祭の打ち上げをしたりするとどうしても外食が関わってくるので…自分で一歩引いていたところはありました。

———ご友人と一歩引いた生活をされていたとのことですが、ご友人からなにか言われることはありましたか?

友人からなにか言われることはありませんでした。病気のことを自分から話していたので、友人もみんな心配してくれましたね。
ですが、やはり文化祭や長年趣味でやっているテニスの大会の後の打ち上げにも参加したかったのが本音です。そういった意味では、毎日の生活を楽しんではいましたが、病気があったことで十分に楽しめていなかった部分もあったのは確かです。
ただ、周囲の人の温かさに恵まれたのは本当に幸運でした。病気のことを打ち明けると受け入れてくれる人が多かったので、段々と自分の中でつらい経験が昇華できていったのかなと思っています。

———治療をしながら少しずつ病気を受け入れられるようになり、周囲の温かさにも助けられて今は病気と上手く付き合っているのですね。その過程はつらい道だったと思いますが、具体的にはどのような治療をしましたか?今も治療は続けているのでしょうか?

診断を受けたのは発症した小学5年生のときです。食事や水分が摂れなくなって病院へ連れていかれて診断されました。
小学生のときは精神科に通院しているということを受け入れられなくて悩んだこともありましたが、しっかり薬を飲むことで症状はコントロールできます。発作のような症状が出たときに飲む頓服薬もありますし。
これまで、病院には3か所通いました。今の病院に通い出したのは2年前ですが、元々母が通院していた病院です。

———よろしければ病院を変えた理由を教えたいただきたいです。発症してからこれまでどこかしらの医療機関で治療はずっと継続されていたのでしょうか?

病院を変えた理由は、担当医との折り合いが合わなかったからです。医師によって処方する薬の種類や用量が違うので…治療をした結果食べ過ぎて体重が急激に増えてしまったこともあります。そうなると逆に精神的に落ち込んでしまったんです。結局、母がお世話になっている病院に有名な医師がいるとのことで転院して今に至ります。
今は治療を継続していますが、自分自身で病気を受け入れられるようになったと割り切って治療を自己中断していたこともありました。

———今はどのような治療をしていますか?

今は3種類の薬を朝と夜に飲んでいます。薬をしっかり飲んでいても動悸などの症状が出ることもあるので、そのようなときは症状を抑える頓服薬を使用しています。今は症状が落ち着いているので頓服薬を使用することはほとんどありません。
薬の量は症状の状況によって診察時に変更になることもあります。

———なるほど。薬を長く飲まれていることで何か困っていることがあればお聞かせください。

一番困るのは薬の飲み忘れです。薬をしっかり飲んでいれば症状はコントロールできますが、飲み忘れると一気に体調が悪くなります。倦怠感や頭痛が強くなると、また「食べたら戻してしまうかも」という恐怖を感じやすくなることもあります。
飲み忘れがないように薬はダイニングテーブルの目立つ場所に置いているのですが、仕事で疲れている日などは飲み忘れてしまうこともあって…気を付けていても飲み忘れをゼロにできないのがつらいところです。

———飲み忘れは深刻な問題ですね。harmoは、お薬手帳のアプリを提供していますが、久保さんはお薬手帳にどのような機能があったら嬉しいですか。

症状の変化をチェックできる機能が欲しいです。薬を変えたときに症状の増悪などを記録できる機能があれば治療効果も分かりやすいと思います。これまでにも薬を変えたことはたくさんありましたが、実際に薬を変えてどのような変化があったのか私自身は目で見ることはできません。日々の症状の程度をグラフ化するなど明瞭な記録ができれば嬉しいですね。

———色々お話をお聞きできましたが、最後に久保さんにとっての生きる意味を教えて下さい。

生きる意味について深く考えたことはありませんが、人を大切にして家庭を作って後悔しない人生を送りたいなと思っています。あとは、祖父母にはとてもお世話になったので何かしら恩返しがしたいと考えています。
そして、今も精神疾患でつらい思いをしている方に向けての克服体験も発信していきたいと考えています。YouTubeなどでの配信を考えたこともありましたが、一人ではハードルが高かったです。精神疾患をお持ちの方を対象とした相談員などの活動にも興味を持っています。本業の他にもそういった活動ができればいいですね。

———ありがとうございます。今、久保さんと同じような病気で苦しんでいる方に向けてメッセージがあればお願いします。

私自身、小学5年生で発症して病気を受け止められるようになったのは中学生になってからです。でも病気になったのは誰のせいでもありません。病気も一つの個性として捉えて受け入れていくことが大切だと思います。
私もいずれはお薬を飲まなくてもいい状態になりたいと願っていますが、病気とは一生の付き合いだとも思っています。周囲に病気のことを知られるのが嫌な時期もありましたが、病気を割り切ってしまえば周囲は思いのほか良心的に受け入れてくれます。
ご自身に合った治療と周囲の支えで病気を克服していってください。

———久保さん、貴重なお話しをありがとうございました。


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