『カバの話 文体練習 感嘆符Ver.1.0』
なんと、夜中に竹田が家に来た!
手のひらを甚だしく擦りむいて、全身泥だらけだ!
しかも、カバと相撲をとってきたというではないか!
思わずサバンナのカバか?!と聞いてしまったではないか!
ああ、そのカバ!!
竹田は、人が疎らな閉園まぎわの動物園で柵を越え、カバの居所に乗り込んだ!!
なんと目の前のカバについて何も知らなかった!
体長3.5メートル、体重2トン途方もない大きさだ!
毎日、50キロの草木を食べて、時速40キロで走るんだ!
カバは、何をしに来たのかとでも言うようにこちらを見ていた!
竹田はすかさずカバの頭に飛びついた!
少しでも立ち止まっていたらそのまま動けなくなる気がしたという!
カバの首に腕を回して組み合った!
噛まれても、踏まれても、終わりだ!
頭に抱き付いている限りは噛みつかれないはずだ!
竹田の身体の下でカバは大きく口を開けた!
身体をゆすって、頭を左右に振った!
足が地面から浮いた!
竹田はこんなときに、これが相撲だろうかと思ってしまった!
前足が足であって手でないならば、膝を着かせるか、ひっくり返すしかないではないか!
しっとり濡れて柔らかかったカバの首が唸り声と共に勢いよく頭を左に振られた!
竹田の身体がカバから離れた!
宙を舞った一瞬、小さな白い蛇がにゅるにゅる空に昇っていくのが見えたのだ!
そうだ、何年も鰻を喰っていない!
カバは竹田を残して何事もなかったかのように尻を向けて水たまりの方へ行ってしまったのだった!!