重要な役割を任せたい人の特徴
社長としての仕事の一つに「任命」があります。
重要な役割を任せたい人には、いくつかの共通点があります。
火事場で逃げない、頼りになる
事業を営んでいると「ここぞ」という場面が出てきます。
一回こっきりしかチャンスがなかったり、ものすごいハードなことだったり。
資金調達の最終プレゼン、誰かの退職、お金がなくなりそう、天災、訴訟などなど。
そんな「火事場」を乗り切れるかどうかで、事業の命運は決まります。
「この人なら、火事場で逃げない、裏切らない、頼りになる」と心から思える人には、重要な役割を任せたくなります。
火事場で逃げない人の特徴は、仕事への当事者意識がズバ抜けて強いこと。
即レスする、納期を守る、重要なMTGを休まない、という基本的なことから、
人や状況を理由に進化を諦めない、「究極、自分が何とかする」という意識と行動を体現している、などの特徴があります。
火事場は、なんの前触れもなく、いきなり始まる試合のようなもの。それこそ土日であろうが、深夜早朝であろうが試合は始まりますし、大体、試合は大雨の中で行われます。
能力が高いことに加えて、いつであろうと、どんな状況であろうと、試合に参加してくれる人だからこそ、重要な役割を任せられるのです。
意思決定する際の主語が「自分」ではなく「事業」「会社」
仕事をする上で、その仕事をやりたいかどうか、自分の処遇がどうなるかは、通常、重要な要素です。
しかし、重要な役割を担うようになると、その人の意思決定は、全社に影響を及ぼします。
ですので、重要な役割を担う人の意思決定は、主語が「自分」ではなく「事業」「会社」である必要があります。
「自分」がやりたいかどうかではなく、その意思決定によって、「事業」「会社」がどう成長するのか。
事業、会社が成功するからこそ、個人としての成功もあります。
自分本位ではなく、事業本位の人にこそ、重要な役割を任せられます。
議論では迎合しないが、会社がやると決めたら、誰よりも徹底的にやる、自分のチームで徹底的に実行出来る
重要な役割を担う人が携わる意思決定のなかには、正解のない意思決定があります。
しかも、リスクが高い。失敗すると、損を出してしまう。
ですので、意思決定のための議論では場に迎合せず、徹底的に議論する必要があります。本心では賛成していないのに迎合したり、MTGで意見を出さないのであれば、意思決定のためのMTGに参加する意味はありません。
しかし、一度「会社」がやると決めたら、誰よりも徹底的に実行することが求められます。
正解のない意思決定は、徹底的に実行することで初めて、正解かどうか、分かるからです。
実行のタイミングになっても、行動しないのであれば、単なるストッパーです。
正解が分かっていることだけやるのでない限り、全員の意見が必ず一致する確率は低いでしょう。そして、事業の意思決定は、大きなものであればあるほど、正解が不確かなケースがどうしても出てきます。
もし事業の意思決定が、能力の高い人間であれば失敗なく出来るのであれば、経営コンサルティング企業は自分達で事業をやっているはずですし、世の中でエクセレントカンパニーと呼び名が高かった企業が新サービスで失敗する理由も説明出来ません。
そして正解が分かっている範囲だけで事業をするのであれば、つまりそれは、事業として進化が止まるということです。
正解のない意思決定については、意思決定までは徹底的に議論し、自分が反対だったとしても会社がやると決めたら、誰よりも徹底的にやる。自分のチームも徹底的に行動する。そんな気高さとリーダーシップが、重要な役割を任せる人には求められます。
周りを元気に出来る
重要な役割を任せる人の周りには、困難な事象がつきまといます。
仕事の価値とは「課題解決」なので、重要な役割を任せているということは、その人でないと解決できない、新しくて大きい課題と向き合っている、ということです。
重要な役割を任せたい人は課題と向き合える人ですが、周りの人はそうとは限りません。できる限り、新しくて大きい課題と向き合いたくないと考えるのが多数派ではないでしょうか。
新しくて大きい課題は、一人では解決出来ないので、周りの協力が必要になります。
ということは、重要な役割を担っている人は、必然的に、周りを鼓舞する必要があります。
自分自身が、まだ課題を解決出来るか分からないのに、周りを鼓舞する必要がある。これはすごく大変なことです。
周りを鼓舞する天才で、南北戦争を勝ち抜き、奴隷解放を成し遂げ、世界で最も認知度が高いアメリカ大統領「リンカーン」がうつ病持ちであったことはあまり知られていません。
自分自身が悩みながらも、周りを元気に出来る。そんな稀有な人だからこそ、重要な役割を任せられるのです。