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 押入れの襖を開いた。

 襖の中に襖があった。
 その襖の中にも襖があった。

 延々続く、襖。

 どんどん奥へ。
 洞窟のよう。

 僕はそこへ身を滑らせる。

 何枚も何枚も開けては進む。

 それは迷宮、襖迷宮。

 遠くで、ぱたん、と音が鳴った。
 気にも留めず進んだ。

 ぱたん、ぱたん、ぱたん。

 それはどんどん早く、近くなってくる。

 僕の後ろで襖が閉じた。

 帰り道はないらしい。

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