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消灯

 消灯。
 そこに生まれるのは暗闇、ではない。

 はじめは確かに黒い。
 だけど、目が慣れてくると、うすぼんやりと、何かの輪郭が現れるのだ。

 明かりが消えて、もう随分が立つ。
 僕はずっと馴染めなくて、何も捉えることができない。

 このままずっと、こうやって生きていくのだろうか。

 幸い、崖の方向だけは知っている。
 終わらせようと思えば、いつだって。

 それでも、僕は暗闇に目を凝らしてしまう。
 明かりの消えた部屋に、何かを探してしまう。

 まだ、足掻くのか?

 僕は僕に問う。

 もう、諦めたいよ。

 僕は答える。

 だけど、その言葉とは裏腹に、僕はやっぱり崖に背を向けて、明かりの消えた部屋に、何かを求めている。

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