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病まない工夫

病気を未然に防ぐ。
これこそ、全ての医学が目指す究極の目的でしょう。東洋医学でも、古くから病気にならないうちに予防することが理想とされ、この考え方を「未病思想」といいます。
そもそも「未病(未だ病にあらず)」という言葉は「聖人は已病(すでに病にある)を治さずして、未病を治す」(黄帝内経・素問)を出典とし、後漢時代に書かれた『難経』にも「優れた医者は未病を治し、普通の医者は已病を治す」とあります。
このように”未だ病まざるを治す”という思想は、中国2000年来の知恵であります。
では病気を予防するには、どうすればいいのか?
中国最古の医学書『黄帝内経』には「正気内にあれば、邪これを侵さず」というように正気を強めて病気にかからない健康な体をつくることです。
これはつまり、「養生」ということにほかなりません!養生とは「生を養う」、すなわち病気にかからないうちに生命力を養っておくということです。
この考えの究極な形が、正気を強めて不老不死を願う仙人の修行です。仙人はそいう意味で究極の健康体なんでしょう。
誰もが仙人のような厳しい修行はできませんし、楽しくありません。
東洋医学は基本的に個人を基準にしたオーダーメイドの医学であり、邪も正気も各個人によって異なるので、養生にも各個人に合った方法があります。
そしてその原則はたった1つ、「おのれを知る」ということです。
自分の体のどこが弱りやすく、どんな邪によって病気になりやすいかをしっかり認識したうえで、自分に適した養生方法を見つけて実践していく、これが正しい養生法なのです。
健康なうちに養生を実践していくのに、4つの方法があります。「息・食・動・想」(呼吸、食事、体を動かす、考える)です。
ようするに、早寝早起き、腹八分の食事、くよくよせずに、適度な運動をし、規則正しい生活を送ればいいわけです。
この当たり前のことを、忙しい日々の中で習慣づけて実践していくのが、いかに難しいことか。だからこそ、「未病思想」は現代人にとっては、”修行”といえるかもしれないですね。
なかなか自分でコントロールできないときは、東洋医学の専門家の助けを借りるのも、いい方法です。

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