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【小説】今の気持ちは、 #4

りなは6年生になった。身体は大きく成長した。顔つきがだいぶはっきりし目元は母親のさとみにそっくりに。背も大きくなり6年生の平均身長よりも高く、胸元が多少膨らんで普通の女の子と同じように成長していった。

もちろん身体だけではなく心も大きく成長していった。そしてりなは自分が人とは違う感情を持っていることに6年生になるころには気づいていた。みんなと同じように楽しんだり泣いたりすることを、同じ気持ちであることを表現することができないと気づき、何度も''泣いていた''。りなが''泣いている''のをさとみは何度かみた。そっと声をかけて慰め、時には抱きしめた。女の子は繊細だ。人と一緒に喜び、楽しみを分かち合うことができるのにそれを表せない。共有できないことがりなにとってどれだけ辛いことか。りな意外に誰が計り知れるというのかとさとみは思っていた。そしてりなは人一倍感情に敏感になっていった。それ故にりなはさとみとこういちからの絶え間ない愛情を感じていた。まだ小学6年生だ。ほかの同世代の子どもが親の愛情に気づくということは中々難しい。大人ですら親の愛情に気づくことは難しい。反抗期や高校生活、大学生活、社会人になり、どこかのタイミングで自分が親の立場に近い距離になり1人立ちするようになりようやく気づくということか一般的ではあり、普通のこと。しかしりなは人一倍感情に対する意識が芽生えている。それ故に幼いころから自分の感情によってどれだけさとみたちに苦労をさせ、心配をさせてきたのかを感じ。自分自身への愛情を感じていた。もうなるべく心配はかけたくないとりなは表情をあまり変えなくなった。無表情で話すことが多くなった。さとみはりながこうなってしまうことを恐れていた。ただ予想していた分、動揺をなるべくしないように接することができていた。

最近はほとんど学校にもいかなくなりりなは自宅で勉強をしたり絵を描いたりしている日が続いた。

今も定期的に病院に通っている。病院はいくつも回ったけれど未だ治療法は見つかっていない。りなが産まれた病院で出産手術に携わってた院長が定期的に診断に来てと、半年に1度や1年に一度、りなの状況をみてもらっている

久しぶりりなちゃん。体調はどう?

はい。特に悪いところはないです。

そっか。よかった。じゃあこの後また身体検査して異常なければまた半年後くらいにまたきてね

基本いつもこんなやりとりだ。本当に先生はりなのことを見ているのかと毎度毎度思いながらさとみとこういちは聞いていた。医師が治療法を分からないんじゃどうしようもないし、ネットにも同じような症状の例の子もいない。自分なりにも何か解決策がないかと探っているがこれといった手がかりはみつからない。でもりなは元気でいる。それがなによりと思っていた。

りなは身体検査を終えて病院をでた。

その日の夕食は家族で回転寿司にすることにした。週末ということもありどこも家族連れに賑わっている。りなたち家族も他の家族となんら変わりなくお寿司を堪能した。

帰りの車の中でりなの口から思わぬことが聞こえた

私、中学生になったら普通に学校通う

助手席から前を見たまま話していたので後ろにいたさとみはその時のりなの表情が見れなかった。運転手のこういちも聞いている時は運転のため前を向いていたがりなの言葉に驚き思わず顔をみたが表情があまりわからなかった。

さとみはすこし動揺したがりなが学校に行くと行ったことはその時の気分でなんとなく発した気まぐれで言ったのかそれとも相当な覚悟を持って言った発言なのかはわからないがりなの気持ちを尊重し、笑顔でりなに返事をした。その後は中学校の話は全くせず車内ではたわいもない世間話が盛り上がって車に流れていた音楽がいつもより小さく感じた。

りなが寝たあとさとみたちはいつもよりホッとした気持ちでいた。''普通''が何かはわからないが何か前進した気がした。敷かれたレールにまた乗って走れるような感覚になった。

こんなに心がゆっくりできた日はいつぶりだろうか、、、とその日はすぐに眠りについた。

、、、、、

、、、

、、

、、、

被験者の容態はどうです?

今のところ問題はありません。会話も問題なくでき、身体に異常もみつかっていません。

試験段階としてはまずまずですね。引き続き研究を続けましょう。最終的な段階まではもうすこし時間がかかりそうですが。

、、、やはり私は1つの家族を、家庭を壊してしまったことに対する罪悪感があの日から今日までずっと消えたことはありません。教えてください。一体何の目的があるんですか。

ふーむ。あなたに教える必要はありませんよ。これは取引ですからね。自分の身をわきまえてください。私とあなたは完全に上下完全にありますよ。

、、、、

では



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