見出し画像

【小説】今の気持ちは、 #5

りなは中学生になり、学校に通うようになった。入学当時は不安だった。小学校をまともに行ってなかった自分が急に学校にきて、どんな目でみられるのか、勉強についていけるだろう。何か言われたりしないだろうか、もしかしたらいじめられるんじゃないかと不安にだった。

しかしいざ学校が始まるとほとんど問題なくスムーズに学校に馴染めた。

りなは絵が好きだったこともあり美術部に入った。運動部のようにチームで頑張るというわけでもなく、1人で好きなことを黙々とできると思い入部した。部員は4人と少なく、みんな落ち着いていてまさに文化部という感じで、顧問も滅多に顔を出さず細々とできた。

りなに変化があった。表情を表に出すようになった。 今までは人前であまり表情を顔に出さなかった。なるべく人との会話を避けていた。自分の表情で不気味がられるのが怖かった。

りなは「普通でいたい。」そう思ってりなは鏡に向かって笑顔の練習をしていた。笑いで涙がでるとう場面はあるがりなの場合はただただ泣いていると捉えられてしまう。反対に悲しい気持ちのときに笑うという行為は普遍的ではない。

りなは感情を捨て、ふーっと息を吐き、口角を上げ、目をクシャッとさせた。愛想笑いと思われないように自然な流れで、自然なタイミングで感情を出さないように笑顔で笑っているということを表現することを毎日のようにしていた。

この前、家でさあ〜〜〜だったんだよね。最悪だよお〜笑

あははは、そんなことがあったんだ

同じ部員と会話をしているときも話すときははじめから笑顔の表情を作ってから話す。そうすと、会話が弾んで楽しいときも自然な流れの中での笑みになっていた。りな自身その時の心情は無である。たとえどんなにおもしろい話であっても絶対に心の底から笑わないように常に意識していた。家にいるとき以外があらゆる場面でふと笑ってしまいそうにならないように心がけていた。自分を感情を押し殺しながらでも ''普通でいたい''という想いが強かった。

そのため家ではりなは所構わず泣いていた。感情を全て出せる唯一無二の場所だからだ。テレビを見ながら笑ったり泣いたり自由にでき、思い出し笑いもたくさんする。さとみたちはりなの泣いている姿を見て安心する。泣いているということはりなにとっては楽しいことがたくさんあったという証であるからだ。

りなは中学校生活をりななりに頑張って過ごしていた。


しかし、りなが中学3年になり高校受験を控えた冬のある日の夜さとみに変化が起きた。


うう、頭が痛い、、なんでだろう。

さとみが今までにない頭痛とめまい感じ、バタンとその場に倒れた。

お母さん!大丈夫!?どうしたの!?

その場にいたりながすぐにかけつけた。しかし全く応答せず意識を失った。

りなはすぐさま救急車を呼びさとみと病院に向かった。

#小説 #オリジナル小説 #連載小説

サポートいただきありがとうございます。お酒のおつまみ代にさせていただきます。