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氣まぐれ瞑想日記 #012 いつかの星の透明カプセル
2025年2月23日。
今日も湯船に浸かりながら、目を瞑る。
遠くにうっすらと山が見える。
モヤがかかったようなどんよりした景色をしばらく眺めていると、ハラハラと何かが舞い始めた。
四角く切った小さな紙切れのよう。
最初、紙吹雪のように視えたのだけれど、しばらくすると雪なのだと分かった。
雪が舞っている。
どこから吹いてどこに向かっているのかも分からないほど、吹雪いていた。
私はとにかく寒いのが苦手で、こんな雪深い場所にはあまり行ったことがないし、そもそも縁がないのだけれど、とにかく周りが真っ白で何も見えないくらいの雪の世界。
背の高い木々も、雪に覆われてほとんど何も視えない。
どこに道があるのかさえ、分からない。
でも、さっきよりは明るくなったのは分かった。
“晴れながら吹雪いている”
不思議だけど、そんな感じだった。
「私はあまり雪には縁がないけどなぁ…」
そんなことを思っていたら、小さくうずくまる私が現れた。
たまごの形をした透明のカプセルにうずくまっている。
周りの景色を見ようともしていない。
足も折りたたんだ状態で、顔を伏せ、身体を丸めている。
まるで、母体の中の赤ちゃんみたい。
なぜ、カプセルの中でうずくまっているのかが気になった。
「何してるんだろう?」
そこで私はようやく、これまでの映像に音がないことに氣が付いた。
雪が舞っているのも無音だし、カプセルの中にいる状態も無音。
音がないことで雪がとても無機質に視えた。
生まれる前なのか、それとも冬眠しているのか、カプセルの中の自分はまるで動きがない。
なんとなく、宇宙服を着ている感じもする。
裸じゃない。
裸じゃないってことは、冬眠なんだろうか…。
そんなことを思っていたら、背後で寄り添ってくれていたとても大きな鳥の存在にはたと氣が付いた。
その鳥の頭部はよく視えなかったけど、ワシか鷹のような風格のある存在でとにかく巨大な鳥という感じ。
遠くを見ながら大きな右の翼を広げ、私を抱きかかえるようにカプセルを丸ごと温めてくれていた。
背景が宇宙に切り替わり、地球らしき星が現れた。
カプセルの中で眠りながら、次の道を地球に照準を合わせているみたいだった。
そして、地球で一番高い山に降りようとしたのか、鳥のように空からゆっくり旋回して、地球を偵察している感覚があった。
makiさんに教えてもらった「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」という映画を最近観たのだけれど、
その映画の中で、パール人という設定の宇宙人が、自分たちの星を守ろうと手を繋いで壁を作るシーンがある。
何人ものパール人たちが一列になって手を繋ぐシーン。
一瞬しか描かれていないシーンだったけど、私は観た時に込み上げるものがあって、鮮烈な印象を受けた。
なぜか、そのシーンが突然出てきたのだ。
「そうそう。このシーン、観た時一瞬だったけど、心が揺れたんだよなぁ…」
そう思いながら、なぜか閉じている目から自然と涙が出てくる。
目を瞑ったままの瞼の裏が青く光る。
青い光…
街の夜景にも似た
小さな青い光の集まりがじわっと現れては消える。
閃光というほど強くはない。
私の深いところにある水が揺れ動いていた。
このままいくと感情が手をつけられなくなる感じがして咄嗟に怖くなった私は、目を開けて湯船から出た。
何?
なんで?
今のはなんだったの?
そう問い続けるうちにふと言葉が出てきた。
“もう、これ以上、破滅はみたくない”
私は何と戦っていたのだろう…
私にはその記憶がない。