《絵本レビュー》せかいいちのいちご
うちの祖母は、イチゴ農家であります。毎年冬になると、イチゴをもらえるのであります。
贅沢だ!!!なんてお思いでしょうが、わたしは小さい頃からイチゴを食べ過ぎることによって、イチゴの価値が下がってしまった人間です。
今では、私の代わりにウチの娘たちが大喜びで、食べているのですよ。ありがとう、おばあちゃん長生きしてね。
今日は、そんな私の価値観と似てしまった、しろくまの絵本【 せかいいちのいちご 】のレビューをしたいと思います!パチパチパチ。
〔作〕林木林
〔絵〕庄野ナホコ
〔発行所〕小さい書房
〔初版〕2018年6月
《ストーリーについて》
ある日、しろくまのところに〝イチゴをお届けいたします〟という手紙が届きました。
しろくまは、期待に胸をふくらませ届いた1粒のイチゴを愛でます。だって、間近で見たこともなければ食べたこともなかったのですから。
次の冬は、2粒も届きました。
その次の冬も次の冬もと、年々増えていきました。食べても食べてもまだまだある…
その中で、しろくまが感じたコトとは?
イチゴを通して、しろくまの心の変化を描いた真理を考えさせられる物語です。
《10コの視点》
【キャラクター】
・しろくま
・しろくまの友達
【舞台】
・北極かな
【構成】
ある日、しろくま宛てにイチゴを送るという手紙が届き、まだ見ぬイチゴを飾ろうかなとかイヤリングにしようかなと夢見る
↓
イチゴが1粒届き、感激しダンスをしたりイチゴのつぶつぶを数えたりと幸せな気持ちになる
↓
次の冬に2粒、それからも冬になるとイチゴが届き年々イチゴの数がふえていく
↓
増えていくイチゴに対して感動が薄くなり当たり前になり、最初に届いた1粒のイチゴのことを考える
【文】
想像力豊かなしろくまが、あれやこれやとイチゴに対して考えている様が文たくさん感じとれる。
しろくまの言葉遣いが丁寧で貴婦人のような気品がある。〝なにかしら〟とか〝あるわ〟など。
【絵】
しろくまの絵から、イチゴに対しての興味がだんだん薄れていく様子が解る。
イチゴが大量に届いた時のしろくまはテーブルに頬杖ついてる(笑)ため息でも溢すかのように。いやいやいや、あんなに1粒届いた時には、愛しのイチゴちゃんいうて踊ってましたやん。
ファンシーな世界観の中に、リアルなしろくまの行動や表情が描かれていてどこか人間味があり共感しやすい。
【イチオシ】
最後まで、送り主が解らないところでしょうか(笑)まぁ、しろくまが主役なんでしょうから解らなくてもいいけどもっ。
【ハッピーエンド】
最初に食べた1粒のいちごが1番美味しかったことを、思い出しながらハッピーエンド
【表表紙・裏表紙】
1粒のイチゴのを見つめているしろくまが描かれている。ミルキーピンクな背景もイチゴを助長させていて素敵。
しろくまが白色だからイチゴの色とのコントラストがありバエバエなのか!
【見返し】
郵便配達員らしきカモメがしろくまの家に向かっている様が描かれている。こういうの好物。
【題字の文字】
〝ち〟に特徴のある字間をたっぷりとった明朝体。
《読み聞かせをしてみて》
『わたしはさぁ いちご だぁぁいすきっ♡(7)』
『だってさ おばあちゃんちのイチゴ おいしいもんねー(9)』
『そうかそうか それは良かったやん 笑(母)』
わたしも、このしろくまに負けず劣らずの想像力を掻き立て、極寒にいるんだ!としろくまの気持ちになって読み聞かせしました。
《おしまいの言葉》
冒頭で、祖母がつくるイチゴへの価値観が下がったことを書きましたが。ちょいとした話も書こうと思いまして。
毎年クリスマスなどの書き入れ時になると、よくイチゴを詰めるための箱作りにかりだされていました。まさに、猫の手も借りたい状態ですね。
おじちゃん、おばちゃん達とイチゴを詰める、おばあちゃん。その横で、せっせと箱作りをする小さい私。
ものすごいスピーディーな選別の中で規格外になったイチゴをパクッパクッと食べている、おばあちゃん。
農作業でガラケーのように曲がった腰が、リクライニングソファにジャストフィットしながら仕事をしている、おばあちゃん。
90歳近くまで元気に生活を送れているのはイチゴのおかげなんじゃないかと本気で思ってます。だってビタミンC取りまくりですよ(笑)ビタミンCは大事よ。
この絵本にでてくる、しろくまも私もイチゴへの興味は減りましたが、思い出は輝き続けることになります。
まぁ、たくさんは有ることが幸せとは限らないんですよねっ。イチゴもモノもヒトも♪
イチゴでテンション上がる事は無くなりましたが、私にとって〝せかいいちのいちご〟は間違いなく、おばあちゃんが作ったイチゴです。
☆彡さちのかコボシより
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