職業指導の意味するところ
職業指導という言葉が意味するところは研究者,機関,団体によって多少異なっている.しかし,大まかには,職業の世界に入る人たちに対して,それぞれ自分自身の特性を理解させる,主体的に自分の進路を決定し,その後の職業生活を通じて自己実現が可能な能力,態度,価値観を育てる活動と定義されている.ほとんどの社会人が職業に従事していることを考えると,職業指導は必ずしも学校だけでなく,全ての社会人に共通する課題であるといえる.職業教育という言葉と似ているが,職業教育は単に職業活動に従事するために必要な知識,技術,技能や規範などを伝達するのに対して,職業指導は,人の生き方に関わるような更に広い意味で使われる
い.
学校では1958年(昭和33年)に職業指導が進路指導と改称されたのに伴って「進路指導とは,生徒の個人資料,進路情報,啓発的経験,及び相談を通じて,生徒みずから,将来の選択,計画をし,就職または進学して,さらにその後の生活によりよく適応し,進歩する能力を伸長するように,教師か組織的,継続的に支援し援助する過程である.」と定義されている.具体的には,進路を計画する能力,進学や職業選択の能力の育成,個人資料の作成する能力の援助,進路適応度能力を養うために啓発的経験,進路情報を与え,教育相談を行うことが行われている.