ドイツの職業教育
ドイツでは早期からの職業訓練が行われており,初等学校を卒業する時点,10-12歳の間に将来を見据えた進路選択が行われる.日本では多くの場合,高校進学の時点,普通科高校から大学へ進学する時点で自身の進路を決定することになる.また,考え方として,より良い就職先を求めて良い大学へ進学する風潮もある.しかし,ドイツでは学歴重視ではなく,早くから職業訓練を行い,手に職をつけること,主体性や自立といった観点に重きが置かれている.
複線の制度と言われているドイツの教育制度は,6才から始まる4年の基礎学校(初等学校)の後,6年制の基幹学校,6年制の実科学校,9年制のギムナジウムに分かれて学ぶことになる.ただし,この3つを合わせた総合制学校もある.ギムナジウムを卒業した者は総合大学へ進学することができる.基幹学校は職業教育校のようなもので,義務教育の延長として小学校高学年から中学校に相当する6年制教育を受ける.大学に進学することはできず,職人や販売員を目指すための学校である.実科学校は職業教育と進学を見据えた学校で,卒業後は専門上級学校や専門大学に入ることができる.将来的には専門職や事務職となる進路である.基幹学校を卒業した者や実科学校を卒業して進学しない者は,デュアルシステムによって職業訓練を受けることになる.ドイツにおけるデュアルシステムは公立の職業学校に通いながら企業内における職業訓練を受けるシステムである.週5日制を基準として,3,4日が職場,1,2日が学校で学ぶことになる.職業学校は3分の2が専門科目,3分の1が一般教養であると言われている.教育訓練中は企業から労働契約で定められた訓練手当が支給される.職業訓練を受ける期間は2-4年の間で,3年であることが多い.