ハルツ地方④ドイツ発祥の街クヴェトリンブルク
ハルツ地方最後の記事は、クヴェトリンブルク(Quedlinburg)。
ハルツ地方を巡る旅。
私の一番の楽しみは、このクヴェトリンブルクだった。
この街には、なんと2000軒もの木組の家が残っている。
その広さは80ヘクタールで、ドイツで一番大きな世界遺産としても有名だ。
木組の家好きの私としては、何としてでも出かけねばならない。
この街はヴェルニゲローデと同じく、ザクセン・アンハルト州に位置する。
この街は、1994年に世界遺産に登録された。街は世界遺産であるだけでなく、ドイツ発祥の地とも呼ばれている。
それは、初代ドイツ王、ハインリッヒ1世が居城を構えたからだ。
ハインリッヒ1世は、都市建設王とも言われているが、捕鳥王という少々不名誉なあだ名も付いている。
その物語を伝えるのが、この街にある一つの噴水。
フランケン出身のコンラート1世が、ハインリッヒ1世へ戴冠する瞬間が切り取られている。
帝国の統一を目指すコンラート1世。
しかし、熟考の末に宿敵ハインリッヒ1世に王位を継承しようとして、まさに王冠を被せようとしている。
しかし、大の鳥好きのハインリッヒ1世は、王冠に見向きもせずに鳥を追いかけている。
ハインリッヒ1世は、919年にこの街に城を造り、ここを拠点としてハンガリー人達の侵略を退けたと言われている。
後に鳥好きの王は、狩りの途中で亡くなる。
死の直前まで好きな事ができたというのは、幸せな事なのだろう。
亡骸は妻マチルダと共に、城の近くの聖セルヴァティウス教会に埋葬されている。
マルクト広場の市庁舎と、ローランド像。
民話オイレンシュピーゲルの36話に、彼がこの街を訪れた話が残っている。
彼は善良な農民の女性から、鶏とお金を騙し取った。
こんな話が残っている事が理由で、街の案内はオイレンシュピーゲルの仮装をしたかたが担当だ。
木組の家は、どれも形や色、建築時代が異なり、様々な家を見る事ができる。
街の高台には、お城と大聖堂が鎮座している。
どこから見ても、二つの塔が美しい。
街には、観光バスが走っているが、街の広場からお城まで歩いて10分ほど。
お城は修復中だが、大聖堂と宝物館は見学可能だった。
大きな門をくぐり抜けると、素敵な世界が待っている。
庭がとても美しい。
どこまでも広がるオレンジ色の屋根。
教会内。
この杖を持ったお二人が、教会を造ったお二人。
ハインリッヒ1世が亡くなった後、城を相続したマチルダ王妃は、ここに女子修道院を建てた。
それが、今の聖セルバディウス教会の基礎となったものだ。
ハインリッヒ一世と、王妃マチルダは、この教会のクリプタにて、隣同士に眠っている。
写真不可だったので、是非ご自身の目で、ドイツ発祥の地と、その礎を築いたお二人のお墓を訪れてみて頂きたい。
街に戻ってからは、市役所の裏手のカフェ・ローランドにて休憩。
宿は、広場に面したHotel Theophano。
木組の家らしい美しい建物だった。
朝食は、広場と市役所を見ながら。
この辺りの街は木組の家が多く残るが、各様式の木組の家があるのは、さすが世界遺産の街クヴェトリンブルク。
旅の最後に相応しい、素敵な街だった。
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オイレンシュピーゲルって、だぁれ?