エアフルト 花の都inドイツ
花の都といえば、イタリアのフィレンツェ。
そしてドイツにも、花の都と呼ばれる美しい街がある。
それがエアフルト Erfurt。
ここはチューリンゲン州都であり、またこの街にある中世ユダヤ人に関する遺産は、2023年にユネスコ世界遺産に指定された事からも、是非訪れたいと願っていた。
ドーム広場
大きな教会が二つ並ぶようにして建つ姿は、この街の顔とも言える場所。
ここにあるのは聖マリア教会と、セヴェリ教会。
丁度オクトーバーフェストの準備中で、観覧車などの大型遊具が組み立てられ始めたところだった。
エアフルトの街の歴史は、1300年もあるという。
その歴史の起点は、教会。
742年に、聖ボニファチウスがここに司教座を置いた事から始まり、このエアフルト大聖堂が造られたようだ。
上の写真では、左側の建物が大聖堂。
広く大きな階段は、とても印象的。
ここは、ルターが叙階をした事でも知られている。
また、教会の大きな鐘は1497年にゲルハルト・ファン・ヴァウによって鋳造されたもので、当時は世界最大の鐘だったそう。
祭壇近くに飾られていたのは、聖ボニファチウスの聖遺物。
中心部に、聖ボニファチウスの肋骨の一部がおさめられているそうだ。
大聖堂の隣にあるセヴェリ教会の基礎は、708年頃からあったと推測されており、836年に聖セヴェリの遺骨が移された事から、この名で呼ばれるようになった。
1633年にはスウェーデン軍に占領され、そしてその後はプロテスタントに変わった。
しかし1635年には、カトリックに返還されたという歴史を持つ。
市庁舎
もう一つの街の顔、市庁舎。
市庁舎前の広場はフィッシュマルクトと呼ばれ、市庁舎のみならずギルドハウスなどの豪華な建物が集まり、またショッピング通りもあり、とても賑やかだ。
この街は、北ドイツと南ドイツ、そして東欧とドイツ以西の欧州諸国を結ぶ十字路の真ん中に位置している。
このような立地条件に恵まれた事で、商業活動が活発となり、街は大いに栄えた。
また、かつては青い染料の原料となる植物タイセイが栽培され、高値で取引されていた時代もあったそう。
それらは青い金と呼ばれ、この街には青色染料で財を成した多くの商人がいたそうだ。
クレーマー橋
橋の上に建物がある事で有名なのは、フィレンツェのヴェッキオ橋だろう。
そしてこの街にも同じような橋があり、しかも長さは120メートルもあり、ヨーロッパ最長だという。
橋の上にはたくさんのお店、そして橋の近くにもアイス屋さん、レストランが集まり、かつての賑わいがそのまま残されているような場所だ。
総督官邸
現在は州の首相府として使用されている建物は、かつてマインツ選帝侯の官邸として建てられた。
ここを有名にしているのは、ナポレオンが1808年にここを訪れたという記録があるからだそうだ。
ゲーテのファンだったナポレオンは、彼をここに呼び寄せたらしい。
ペータースべルク要塞
街を守ってきた要塞は、今もまだほぼ完全な状態で残されている。
ここからの眺めは素晴らしい。
旧シナゴーク
世界遺産に指定された施設のうち、その中心とも言える建物。他にはユダヤの儀式をするための浴場、ストーンハウスが含まれている。
その理由は、欧州最古、そして最も大きな建物として遺されているからだそうだ。
中は博物館になっている。
かつては、博物館内の写真撮影は一切禁止だったそうだが、訪れた時にはそのルールが変更されたばかりだった。
受付のかたは訪問客に対して、写真は遠慮なく撮ってくださいと説明して下さっていた。
なお、地下の宝物庫だけは、今も写真撮影禁止との事。
エアフルトには11世紀には既にユダヤ人コミュニティがあったそうだ。そしてその中心的な役割を果たしていたのが、この建物。
建物の変遷や、当時の生活の様子などが資料と共に展示されている。
ユダヤ人が迫害されてからは、倉庫として、またはダンスホールとして利用されたことから、この建物は奇跡的に残ったそうだ。
エアフルトの宝の中でも、特に有名なものは結婚指輪。
純金でできた指輪の輪っか部分は、二人が手を繋ぐようなデザインとなっており、羽の着いたドラゴンや教会の建物が取り入れられたもので、大変豪華なものだ。
写真撮影はできなかったので、こちらはホームページに載っていたもの。
聖アウグステイノ修道院
エアフルトで哲学を学んでいたルター。
しかし、彼は両親の反対を押し切り、修道士としての道を歩む。
そのスタート地点となったのが、この聖アウグステイノ修道院。
街は徒歩で歩いて回れる程の大きさだが、路面電車も走っているので、大変便利。
旧市街には、木組の家々が残されている。
私の好きなオイレンシュピーゲルも、この街にやって来たようだ。
名物のソーセージ
チューリンゲン州といえば、忘れてはいけないのが焼きソーセージ。
パンに挟まれた大きなソーセージは、見るだけで食欲をそそる。
宿泊は、ドーム広場に面したHotel Domizilを選んだ。
ドームが見える部屋をお願いしたところ、想像以上に眺めの良い部屋で、いつまでも窓際に座っていたくなるような部屋だった。
また郊外には、エガパークと呼ばれる園芸のレジャー施設があるそう。
まさに、花の都ならではのレジャー施設だ。
花の都、屋根付きの橋。
ドイツにいながらも、ほんの少しフィレンツェを感じるこの街。
木組の家が並ぶ姿は、中世の佇まいをそのまま残し、そして豪華な建物は街に華やかさを与えてくれる。
ホテルのかたから、こんなお誘いを頂いた。
次は是非、クリスマス時期に来てくださいと。
ドーム広場には、クリスマスマーケットが立ち並び、ホテルからの眺めは一層華やかだそうだ。
花の都のクリスマスマーケット。
その響きだけで、ワクワクしてしまう。
次はきっと、冬にこの街を訪れよう。
雪化粧をした街はきっと、更に美しく華やかになるだろう。
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その他、過去に取り上げたユダヤ人に関する博物館。
オイレンシュピーゲルのお話はこちら
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