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ザクセンスイス国立公園 奇石群の中を歩く
ザクセンスイス国立公園は、写真で一目惚れして以来、ずっと訪れたかった場所の一つ。
この国立公園は、ドレスデンから東へ40kmほど、ザクセン州とチェコ共和国との国境にまたがる場所にある。
私がザクセンスイスに行くと話したら、多くのかたが、スイスの一部だと勘違いしたのだが、上記の通り、ドイツとチェコ共和国の国境辺りの地域だ。
私も気になって調べてみたところ、この名前は18世紀ごろに付けられたようだ。
当時ドレスデンに住んでいたスイス人画家二人が、この絶景を見て故郷のスイスを思い出すことから、ここを『ザクセンにあるスイス』と呼び始めた事が由来だとか。
アルプスと変わらない程の絶景だということは、当時から広く知れ渡っていたようだ。
この広さは93.5平方キロメールで、ドイツの国立公園の中では最も小さい。
関東では勝浦市、関西では西宮市の大きさと想像すれば、その広さが分かりやすいだろうか。
岩石公園とも呼ばれ、奇石が連なる幻想的な風景だ。
以前訪れたシュヴェービッシュアルプも、断崖絶壁や奇石の多い場所だったが、ここもシュヴェービッシュアルプと同じく、かつて海の底だった。
今回の旅の拠点は、エルベ川沿いにあるKurort Rathen。
街は温泉地として療養にも使われる場所であり、こじんまりとしていて心地良い。
到着した日は、ホテルの周囲を軽く散歩。
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朝はとても霧が濃い。
写真を撮っても、この通り。
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ようやく霧が晴れてくる。
写真中央の台形の山、霧の中に浮かぶように見えるのは、リリエンシュタイン山。
エルベ川と山の景色は、それだけで絵になる。
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バスタイ側も、霧が晴れてきた。
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一番行きたかったのは、バスタイ橋へのハイキング。
麓から橋までは30分ほどで到着してしまうので、軽装で訪れる観光客のかたも多い。
私は橋を渡ってから、ぐるりと森を歩くルートを選んだ。
ハイキングを始めるとすぐに、巨大な岩場が見えてくる。
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ここは、エルベ川を見渡せる場所。
エルベ川に沿って、ニョキニョキと生えるように奇石が並んでいる。
遠く見える岩の頂上には、展望台があるようだ。
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そして、目的地のバスタイ橋に到着。
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橋を遠くから見ると、よくこんな場所に橋を造ったものだと驚く。
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背後にはリリエンシュタイン山も見えて、ここからの眺めが一番美しかった。
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先ほど遠くから見えた展望台にも、足を運んでみる。
まさに、断崖絶壁!
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頂上にはお土産屋さんや、レストランなどがあるので、アイスを食べながらひと休み。
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ここからの下りは、森の中を歩くコース。
麓からバスタイ橋までは、人がかなり多いけれど、森のコースはゆったりと歩ける。
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大きな奇石には苔が生え、あちこちにゴロゴロ転がっている。
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苔むした緑は、エメラルドグリーンの海を私に思い出させた。
岩の間をくぐるようにして歩くと、まるで自分が小さな魚になって、海の中を泳いでいるかのような気持ちだ。
地図はポケットに戻し、ただ目の前の道を、岩が指し示すように歩く。
それはまるで迷路のように、あちこちに向かっているのだけれど、不思議と不安にはならない。
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大きな川に出たところで、私のお魚体験は終わりを迎えた。
歩くのが楽し過ぎて、あっという間のハイキングコースだった。
目線を上げると、遠くには巨大な奇石が聳え立つ。
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ハイキングの最後に後ろを振り向くと、綺麗な岩肌が見えた。
約3時間、8.6kmのハイキング。
それほどの勾配差もなく歩きやすい。(勾配差は190mほど)
このコースは、あまりにも絶景ポイントが多過ぎて、あちこちで足を止め景色を眺めてしまい、なかなか前に進めない。
それが唯一の難点かもしれないが、とても満足できるコースだ。
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そして私は、一日のハイキングの中で、二度も蛇を見た。
蛇は吉報を表すそうなので、何か良いことが訪れそうだ。
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翌日訪れたのは、Polenztalwächterという渓谷と、Gemrig山。
この辺りは、どこを歩いてもこのような奇石に出会う。
岩の手前の緑色の看板が、私の背と同じくらいだったので、ざっと25メートルほどあるだろうか。
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川のせせらぎが聞こえてきて、ようやく渓谷に到着。ここからは川に沿って歩くので、とても気持ちが良い。
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遠くに二つ目の目的地、Gamrig山が見えてきた。
岩を乱雑に積み上げたような、独特の世界観だ。
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頂上付近の岩は、こんなアンバランスな状態で佇んでいる。
ここが日本ならば、、、
地震の多い場所では、岩がこの形では留まっていないだろうし、更には危険過ぎてここでのハイキングは許可されないかもしれない。
そんな事を考えながら、奇石の間を恐る恐るくぐり抜ける。
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253メートルの高さのこの山は、リリエン山とエルベ川、そしてバスタイが一望できる場所。
動画を載せられないのが残念なほど、その見晴らしは素晴らしい。
頂上は、滑らかな岩がゴロゴロ並ぶ。
ツルリと足を滑らせたら、崖の下に真っ逆さまに転落してしまうかもしれないという、スリル感満載の眺めだ。
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この日も約8キロを歩き、ホテルに戻った。
滞在先は、Steiger Hotel Rathener Hof。
バスタイがすぐ近くに見えるこのホテルは、朝食と夕食付き、2種類のプールと3種類のサウナが完備されていて、まさに療養地らしいラインナップだ。
滞在中、全てのサービスを思う存分楽しませて頂いた。
ハイキングを終えた後のプールとサウナは、本当に気持ちが良い。
特に蒸気サウナが気に入り、何度も入ってしまった。
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また、ホテルの方が本当に親切で、私はすっかりこのホテルのファンになった。
数日滞在すると、レストランやスパなどの場所で、何度もホテルゲストと顔を合わす。
みなさん、ゆっくり長期滞在されているからだ。
自然に会話が始まり、たくさんの方と色々な事を話したが、ここに毎年来ているというリピーターが本当に多かった。
近くには系列のホテルがもう一棟あるそうで、そちらに滞在した事があるかたも多く、そちらも高評価だった。
スパ施設だけは、私が今回滞在したホテルの方が充実しているそうなので、目的に合わせて変えているかたもいらっしゃるようだ。
何度も来たくなってしまうのが分かる、この景色と、そしてホテルのホスピタリティーだった。
バルコニーに座り、ただ川の流れを見ていると、まるで夕陽が静かに沈むように、日頃の疲れが消えてなくなる。
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ホテルの塩水プールにプカプカ浮かびながら、
昼間歩いたザクセンスイスの奇石を思い出す。
ゴツゴツとした岩、そして滑らかな岩は、決して人間の手では作れない、自然の大きな力を感じるもの。
そして緑色の苔は、まるでビロードのように滑らかで、上品な色と質感だ。
あの奇石群を歩いた時と同じように、私はプールに浮かびながら、自分が魚になった気分になる。
何も考えずにいられること、それが本当のリラックス。
それは、良い旅ができた証かもしれない。
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シュヴェービッシュ・アルプも、奇石が多い。
魔女の山へのハイキング。