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グリム童話VIII シンデレラ

グリム童話シリーズを書いているが、誰もが知っているシンデレラについても、少し記事を残しておきたい。

シンデレラはグリム童話だけれど、そのお城と言われているものは、ドイツ国内には見つからなかった。

ちなみに、シンデレラは、ドイツ原題ではAschenputtel という。
Ascheが灰の意味なので、日本語では灰かぶり姫と訳されたりしているが、やはりシンデレラのほうが馴染み深い。
シンデレラという言葉自体は、フランス語のCendrillon( サンドリヨン)から来ているそうだ。

シンデレラの住んでいたお城は見つからないけれど、日本のディズニーランドのシンデレラ城のモデルとなった城がある。

誰もが一度は目にした事があるであろう、ノイシュバンシュタイン城、新白鳥城である。

新白鳥城
ドイツ名 Schloss Neuschwanstein
場所 Füssen

このお城を思い出す時には、このようなイメージ。

写真は、以下のサイトより

でも、簡単には、この角度からお城を見ることはできない。
向かいの山に登るか、ヘリコプターで飛ぶらしい。

そして、常に修復しているので、こんなアンラッキーな事も起きたりする。
お城が全部、修復の布で覆われてる!

別の訪問時には、ちゃんと見る事ができた。

上の写真は、お城に行く手前のマリエン橋から撮ったもの。
かなり高い橋なので、私は足がすくんでしまうけれど、ここからはお城の後方に湖が見えてとても美しいので、毎回恐る恐る橋を渡る。

お城の中の一部は、観光することができる。
お城に行く前に、麓のチケットセンターで購入するか、インターネットでも予約ができる。

初めて訪れた時には、今のチケットセンターはもっと下のほうにポツンとあるだけで、そこにたくさんの行列が並んでいた。
行列が苦手なドイツ人が多いけれど、一緒に行ったドイツ人の友達の父も、そんなタイプの人だった。
更に、夏の日差しが降り注ぎ、屋根もなく、決して快適な状況ではなかった。

こんなに並んでまで、中を見る価値があるのか?
もう外から見たからいいじゃないか?

と言い出す始末。
どうしても見たいという友達と私、そして友達の母親の説得もあり、なんとか並んでくれた。
今でも、昔のチケットセンターの前を通ると、その事を懐かしく思い出す。


麓からお城までは、徒歩か馬車に乗って向かう。
少しずつお城が見えてくるので、毎回ワクワクしてしまう。

このお城には、ドイツに遊びにくる友達のリクエストで何度も足を運んでいる。
色々な季節に訪れたが、どの季節も目を見張るほど美しい。

バイエルン王ルードヴィッヒ2世が、ヴィッテルスバッハ家の敷地に、ワーグナーの世界観を再現したという夢の城。
歌人の間、玉座の間は必見。
しかし、彼自身は玉座に座る事はなかったのだから、皮肉なものだ。

建設費用620万マルク、現在の価値で200億円以上もの莫大な出費だったそうだ。
そこまでしても、彼がこの城に滞在した日数は、たったの172日と言われている。
お城の居住スペースのみが完成したところで、彼は待ち切れないかのように、早々にこの城に引っ越してきたそうだ。

しかし、それからわずか数ヶ月後には、彼はシュダルンベルク湖で、謎の死を遂げる。

未完成のままのお城は、しばらく手付かずのままだったし、彼の遺志によると、彼の死後はお城を壊すようにとの指令もあったそうだ。
しかし今は、バイエルン州の大きな観光収入源となっている。
お城の中も、フュッセンの街も、白鳥をモチーフにしたお土産で溢れかえっている。

ルードヴィッヒ2世は、狂人とも言われているが、今でも盛大に行われているバイロイト音楽祭は、彼なしでは存在しなかっただろう。
チケットは高価であり、また手に入らない事で有名だ。
ワーグナーが、自らの理想の劇場を作った場所。
世界中のワグネリアンが、一生に一度はバイロイト詣でをしたいと願っているからだ。

たとえ、ルードヴィッヒ2世が狂人であったとしても、彼の残したものは大きい。
そして、彼は亡くなったけれど、彼の思いは今でもこの地に生きているのだと感じる。

この城はグリム童話とは直接関係ないが、ロマンチック街道の終着点とも言われ、海外から多くの観光客が押し寄せる。

そして、ディズニーが夢の国の目玉でもあるお城の参考にしただけの事はあって、一見の価値はある。

ここはまさに、夢の国だから。

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