小児鍼って?子供に鍼をして痛くないの?
こんにちは。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます
先日の前期試験は、クラス4位という結果でそれなりに手応えのある結果で終えることが出来ました
2年生半ばなので、そろそろ国試の過去問なども解き始めないといけないのですが、日々の仕事がバタついている為なかなか手が出せないという言い訳を自分でしてしまっています、、
中学校での大会は大阪市の選手権は何とか通過でき、大阪府の大会まで進出できましたが
2回戦で敗退する結果となりました
まさか僕のチームがここまで勝ち上がるなんて周りの誰も思っていなかったようで
大阪市の中学校界隈では小さな噂になるほどだったようです^^;
子供達にも「勝利する」ということを体験させてあげれたのはとても良い経験になったのではないでしょうか
今大会をもって、勉強に専念する3年生は引退となります
高校でバスケを続けようが
違うスポーツを始めようが
勉強一本に集中しようが
どんな道を選んでも、みんなが周りの大勢の人から愛されるように育ってほしいです
みんなの今後の活躍心より願っています!!
また、8月からは新たに高校バスケ部でも活動する機会をいただき
また違う年代に関われることに対する嬉しさと良い意味での緊張感を感じています
そんなこんなで相変わらず休みのない日々ですが、1日1日に意味を持って行動していきます!
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そして今回は、自分自身も現在学んでいる途中である
「小児鍼について」
をまとめていきます。
実は現在、2つの鍼灸院にて鍼灸助手をさせてもらっています
その内の一つの鍼灸院では
「小児鍼」
という、子供に対して特殊な用具を用いて
「軽度の皮膚刺激を与える鍼術」
を133年前(明治時代)から行っており、そこで助手として毎週行っている自分も
様々なことを学ばせていただいています。
「小児鍼」とはどういったものか?
について自分の勉強も含めて下記に執筆していきたいと思います!
小児鍼とは?
皆さんは「小児鍼」という言葉をご存知ですか?
あまり聞き覚えのない方も多いかと思いますが、一昔前では世間一般的に盛んに行われていた治療法です
小児鍼とは
一般的な「鍼」とは異なり、鍼を体に刺さず、専用の鍼具で皮膚をさする、あるいは皮膚にトントンと当てるだけの技法であり
施術時間は2分~10分ぐらいと短時間であるが、子どもをリラックスさせ
自律神経症状、夜泣き、疳の虫(かんしゃくやキーキー声)、便秘、消化不良、夜尿症などを改善します。
「小児はり」の作用機序については、現在、皮膚への触刺激による脳内伝達物質放出や自律神経反応の変化などについて研究が進められています。
※一般社団法人 日本小児はり学会HPより抜粋
このように、歴史も長く治療効果も見込まれることから
最近では日本国内のみならず世界にも広がりを見せ
ドイツ・アメリカ・ベトナムなどでも普及しており
疳の虫や夜泣き、夜尿症など保護者の苦しむ症状に効果的であるとされています。
皮膚への軽い刺激がどんな効果をもたらすのか?
上記にも記したように、小児鍼とは鍼を身体に刺さず、軽く皮膚を「さする」だけの治療法です。
では、皮膚をさするだけで生体内ではどんな反応が起こり
またどのような変化を感じ取れるのか
小児鍼では皮膚の何を診て、そこからどう理論立てて治療に進めているのか
皮膚医学の見解から簡単にまとめていきます。
1)皮膚触圧刺激の種類・機能
まずは、皮膚とはどのような構造になっているのでしょうか
皮膚といっても詳しく見ると実は大まかに、
表皮→真皮→皮下組織の3層構造に分かれています。
・皮膚の表面に軽く触れた時に感じる感覚(触覚)
・圧迫または牽引によって生じる感覚(圧覚)
皮膚にはこれらの触刺激や圧刺激などの弱い刺激に応答する様々な機械的受容器(触圧受容器)が存在しています。
・圧受容器=メルケル盤やルフィニ終末など
・触受容器=マイスナー小体や毛包受容器など
・振動受容器=パチニ小体など
また皮膚表面にはターンオーバー(皮膚の新陳代謝)によって不必要となった細胞が押し上げられて角化した細胞(ケラチノサイト)があり
やがてケラチノサイトは垢となって剥がれ落ちていきます。
ケラチノサイトは、物理的刺激、化学的刺激、内因的刺激、心因的刺激などの外界、内界両方からの刺激がストレッサーとなり体内に様々な信号を行なって、生体の恒常性の維持を行っている。
さらに皮膚は、有毛部と無毛部に分けられています。
無毛部である普通の皮膚のケラチノサイトはターンオーバーによって「垢」になり角質層が入れ替わるのに対し
毛穴を有する有毛部の皮膚は、「垢」の代わりに「毛」を作っています。
また普通の皮膚の場合は、最上部に皮脂腺を有しているが
有毛部の皮膚の場合は、毛の毛母細胞の周囲に自由神経終末が取り巻いています。
猫や犬のヒゲがアンテナの役割を果たし、何かを察知した時に動かしているのを見た事がある人も多いでしょう
これは「毛」が触れて傾くことによって
最下部の自由神経終末がその情報をキャッチし、それぞれのマイスナー小体、メルケル細胞、ルフィニ小体、パチニー小体などの受容器に情報が伝達されて
外部からの動きや圧を感知する鋭いセンサーとなっているからである。
つまり、皮膚と同じく「毛」は外部センサーとしての役割をもっているのです。
これらのことから、小児鍼では身体に鍼を刺さず
「皮膚を優しくさする」
「毛を撫でる程度で触る」
ということを行ない治療をしています。
2)皮膚をさすることの有効性
皮膚を優しくさすったり撫でたりすることで起こる皮膚の反応については上記に記した通りですが
ではそれが、なぜ治療として行われているのでしょうか
前述の通り、ケラチノサイトという細胞は角質層のことで皮膚の最表面の細胞です。
その表皮ケラチノサイトでは神経伝達物質であるATPが放出されています。
ATPというと、一般的に生体のエネルギー源であると言われていますが
皮膚の最表層の皮質からはATPが圧受容感覚やテクニカルストレス(外部環境によるストレス)を受容して神経を介して伝達する働きもあるということがわかってきています。
また表皮のケラチノサイトは表層と深層の2層に分かれています。
①表層のケラチノサイトは、
お互いの細胞の細胞間脂質の他、ギャップ結合と言われる1種の管状で結ばれており、情報伝達物質ATPで結合されている。
「ギャップ結合」は、外部からのテクニカルストレスが広範囲に伝達していく役割を有している。
電位を受容したり、圧刺激などを受容したりするのは最表層のケラチノサイトであって、圧刺激などが加わるとATPをケラチノサイトから放出して、その信号を二次的に伝達している。
この伝達する表皮の情報システムはMrgprd線維と言って無髄の神経繊維である。
この神経は皮膚組織などの損傷に応答するべき神経であって、侵害受容線維とも呼ばれる。
愛撫のような感覚を受容し繊細で皮膚感覚に寄与している。(皮膚の表層にしか存在していない)
②深層のケラチノサイトは、
例えば表層に圧刺激が加わった際に、二次的信号としてATPが最深部のケラチノサイトに情報を伝達する。
このケラチノサイトの最深部はいわゆる自由神経終末、メルケル細胞、ルフィニ小体やマイスナー小体などがあり、強い圧受容感覚や低音温度感覚等をここで受容している。
このように、外部情報を一番初めに受けるのは表皮であり
特に最表層のケラチノサイトのギャップ結合による情報システムがポイントです。
小児鍼をする際は、この最表皮のケラチノサイトを撫でるように刺激をする。
しかし、一旦その刺激が過剰ともなれば侵害受線維が二次的に情報伝達物質ATPを深部のケラチノサイトに移し、自由神経終末の受容器に伝達され、
「痛み」・「温度」・「圧迫」
など機械的刺激となって感覚を受容することになります。
つまり小児鍼の刺激量は決して深部ケラチノサイトを刺激することでは無く
浅層のケラチノサイトを刺激することが最も重要で、この刺激によって無髄神経であるMrgprd線維に愛撫するような感覚を与えることに効果を発しているわけです。
表層の情報伝達物質ATPを上手く刺激することによって、
「気持ちの良い鍼」を行えることになり
幸福ホルモンの、オキシトシン誘発
ストレスホルモンの、コルチゾール減少
などを招き、結果として「皮膚を優しくさする」ことが小児鍼の体に最も良い条件を作り出す可能性をもたらしていると考えられています。
このように、子供の皮膚は大人の皮膚に比べて敏感であり
「外界からの情報を受容し防衛や反応をしやすく、逆に内臓や感情の情報を皮膚表面に伝え続けています」
皮膚を直接触診し、どこに問題があるのか皮膚の反応点を探して治療をする
そして治療後にはそれらの反応点が消失したかを探索する
この一連の流れが大まかな小児鍼の治療であり、理論的な内容になります。
まだまだ自分自身、理解しきれていないところも多々あるため
このように、今行っていることに対する理論的な部分を改めてまとめ、理解を深めることで新たな発見などが見えてきます
実技的な部分も練習していかなければならないので
やらないといけないことはまだまだたくさんあります
時間が無いを言い訳にせず、コツコツと今自分に出来ることをやっていきたいと思います!
以上少し長くなりましたが、今回は小児鍼についてまとめました。
本日もご覧いただきありがとうございました。