現代鍼灸について

今回は鍼灸治療の中の一つ現代鍼灸についてお話ししたいと思います。

鍼灸学生か鍼灸初学者向けの内容が多いかと思いますが、鍼灸に興味があるといった方々にもわかっていただけたらと思い記事にしました。

1.『現代鍼灸学』

の説明と

実際に症例を用いて説明する

2.『ケーススタディ』

の2章でお話しします!


1.『現代鍼灸学』

まずはじめに、インターネットで調べると西洋医学と東洋医学はそれぞれ以下のように定義されています。

西洋医学とは、いわゆる現代医学といわれるもので、患者さんの状態を科学的、局所的、理論的に分析し、症状の原因となっている病巣や病因を排除することで治療をする医学です。 身体診察や問診はもちろんですが、血液検査などの客観的なデータも駆使して診断を行います。

東洋医学とは、2000年以上前の中国で発祥し、東アジア(日本・中国・韓国)の地域で発展した医学であり東アジアの気候や風土、その地域で生きてきた人々の生活習慣や考え方に基づいた治療法が確立され、全身のバランスを整えることを目的として行います。

簡単にまとめると

西洋医学・・・体の中の原因(病因)を取り除く

東洋医学・・・・体全体のバランスを整える

と言えます。

つまり西洋医学は症状のある部位にアプローチし、東洋医学では一見関係のない部位へのアプローチもすることがあるということです。

鍼灸は東洋医学から派生したものではありますが、今回は西洋医学の一つのとして発展しているものが現代鍼灸と呼ばれています。

前述の通り現代鍼灸は西洋医学の中で行われるため、症状の原因に対し鍼治療を行います。

それでは実際の症例について考えてみましょう。

2.『ケーススタディ』坐骨神経痛


患者さんがお困りの症状でよくあるものの一つに坐骨神経痛を例に出してお話しします。

坐骨神経痛は症状の名前で病名ではありません。

腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛、脊柱管狭窄症による坐骨神経痛、梨状筋症候群による坐骨神経痛など原因となる疾患はたくさんあります。

私の臨床経験上では腰部脊柱管狭窄症による単根型の坐骨神経痛は鍼治療が著効することが多いです。

仮の症例を挙げますので私が実際に行う治療方法を示します。この記事を読んでくださっている鍼灸学生や鍼灸師の方がいらっしゃったら自分であったらどう治療するかも考えてみてください。


症例

75歳 女性

主訴 歩行時の左下肢痛

現病歴 3か月前より誘因なく歩行時の左下肢痛を自覚、当初は30分以上歩行を行うと症状が出現し、5分ほどの休息で寛解していた。症状は増悪傾向にあり、1か月ほど前からより10分の歩行で症状が出現するようになったためかかりつけ医を受診。腰部脊柱管狭窄症と診断を受け、手術療法と保存療法を提案されるが保存療法を選択。友人から鍼灸治療を勧められ鍼灸院に来院。鍼灸は初めてである。歩行時の疼痛NRS7(想像しうる最大を10として)

他覚的所見

SLR -/- K-ボンネット -/- ワレーの圧痛-/+ ケンプ-/+

症状の部位 L5領域

知覚鈍麻 - 筋力低下 -

反射、筋力、可動域 WNL


今回挙げた症例は実際にある患者さんではありませんが似たような患者さんは多くいらっしゃると思います。

みなさんも治療方針は立てやすいかと思いますが、私が治療する上での一例をご紹介します。

私であれば

L4/L5 L5/S1 神経根近傍 梨状筋下孔部 頚骨神経

に刺鍼します。

写真は三診目の治療計画である腰部と坐骨神経への通電です。 

左坐骨神経痛


治療の段階としては、

1診目 腰部に低頻度鍼通電

2診目 変化がなければ坐骨神経通電の追加

3診目 変化がなければ坐骨神経に高頻度鍼通電

といった計画で行います。

私の少ない経験上ではありますが、写真の通りに治療を行って間欠性跛行が改善した例や痛み痺れが寛解した例は多くあります。

この治療は現代医学的な所見の元、原因となっている腰部と症状が出ている坐骨神経に鍼をするという治療法であり、腰部神経根の血流改善と坐骨神経の疼痛閾値上昇を目的に行います。

この治療法のメリットを個人的な見解の元お話しします。

メリット

・西洋医学に基づいているため、医師や理学療法士などの他の医療従事者と連携がとりやすい。

・パルス治療では刺激を定量化できるため再現性が高い。

・患者さんへの説明がしやすい。

西洋医学を用いるメリットは上記のようなものがあるかと思います。

この治療に東洋医学の考え方を合わせるのももちろん効果的だと思いますし、この方法が正解だというわけでもありません。皆様の中にもっと良い治療法をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

この治療は私が行ってみてよかったものを紹介させていただきました。

もし治療に行き詰った際の参考の一つになればよいかと思います。

坐骨神経への刺鍼については別の記事でご紹介したいと思います。


今回は現代鍼灸学と実際の治療例を挙げて説明いたしました。

今回は鍼灸学生や初学者向けの内容であり、臨床経験の豊富な先生方には物足りない内容だったかもしれません。

現代鍼灸を用いた治療が皆様の参考の一つになればと思います。

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