雨ひとつ
一呼吸が精一杯さ
透明すぎる空の下で
音も熱も,記憶さえも
吸い込まれそうな空の下で
隠す気も無い,私は弱い
心と体が石ころみたいで
蹴飛ばして遊んでいたら
砕ける前に無くしている
君と手を取って歩くには
長すぎて狭すぎた日々だ
離れたまま砕けたままで
歩くにはどうしたらいい
夕立ち,の前触れ
湿った君に少し似ている
秋の匂い
雨ひとつ
私を照らして
傘も差さずに
待っているから
旅立ち,の前触れ
怖くて渇いた喉を灼いた
秋の気配
雨ひとつ
今をとどめて
誰にも言わずに
会いに行くから
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