【超短小説】年雄の寝相
年雄は寝相が悪い。
朝起きて、布団に対して真っ直ぐ起きた事は、まずない。
頭の下に枕があった事もない。
ほぼ足の方にある。
それでも落ち着いた方で、子供の頃はもっと酷かった。
兄貴が中学生になった頃、記念にベッドを買って貰った。
兄貴は喜んでいたが、年雄は毎日ベッドから落ちる為、すぐに捨てる事になった。
1番酷かった時は、夜中に起き上がり、歩き回る事だった。
まったく覚えていないが、朝に母親から「外に出て自転車に乗ろうとしたよ」と言われ時はゾッとした。
ここまでくると、寝相が悪いのレベルではない。
家ならまだいいが、友達の家にお泊まりした時、まったく覚えていないが、起きたら玄関だった。
ゾッとした。
大人になるに連れて、だいぶ落ち着いたが寝相が悪いことは変わらない。
起きたら時々ゾッとする。
今日、起きたらまったく覚えていないが、携帯の画面が割れていた。
浜本年雄40歳。
これくらいなら、もうゾッとしない。