【超短小説】年雄、夢中に
年雄は何かに夢中になりたい。
何かに夢中になり、詳しくなりたい。
時間とお金をかけて、充実した時間を過ごしたい。
そう思っている。
問題は"何か"を見つける事だ。
気が付けば、人より詳しい事が1つもない。
誰かに説明できる程夢中になった事がない。
友達にはそれがある気がする。
プロレスに詳しかったり、時計に詳しかったり、アイドルに詳しかったり。
何年の何月にどうのこうの。
歴史を語れる程、夢中になる。
羨ましい。
年雄にはそれがない。
なんなら、自分の歴史さえも曖昧。
何かに夢中になりたい。
何かに出会いたい。
ただ、"何か"を探す行為はめんどくさい。
浜本年雄40歳。
めんどくさいって邪魔だな。
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