【超短小説】年雄、鍵!?
年雄は青ざめた。
家の鍵がない!
気付いたのは、今。
家の玄関の前だ。
いつもは右のポケットに入れてある。
でもない。
いつからない?
朝はあった・・・はず。
仕事中は小さなバッグに入れてあった・・・はず。
会社で着替えて、バックから鍵を取り出し、右のポケットに入れた・・・はず。
分からない。
全く思い出せない。
今日一日鍵の存在を明確に思い出せない。
ルーティンの中に自然にある物だと思っていた。
大事な物なのに。
なぜだ。なぜ、ルーティンの中の自然にある物にしてしまったのか!?
年雄は会社から40分かけて帰ってきたが、その道を戻る事にした。
注意深く鍵を探しながら。
会社に戻ってきた。60分かけて。
鍵は無い。
会社のロッカーも確認。
無い。
年雄は震えた。
今日、どこで寝よう。
もう一度ゆっくり注意しながら家に帰る。
70分かけて、家に着いた。
鍵は無し。
絶望の中、年雄は玄関のノブを回してみた。
ガチャ・・・あれ?
空きましたけど?
鍵は家の中で発見した。
年雄は笑った。
浜本年雄40歳。
ズッコケ年雄に、お尻ぺんぺんの刑を課した。