【超短小説】年雄と手間
最近、友達と呑んでいて思う。
会話に困る。
ちょっと話すと、シーンとする。
仕方なく携帯でニュースを探して、それについて会話する。
不倫だとか、脱税だとか、移籍だとか。
自分には関係ない話。
年雄は考える。
いつからだろう?
恐らく、自分の行動に手間が掛からなくなった辺り。
外に出る理由がなくなった辺り。
家にいながら、物が届く。
本を買いに行けば、本屋に着くまでの行動に何かあり、会話の種になった。
家にいても、会話の種ぐらいはあるのだろうが、覚えていない。
多分、動いていないから頭に入ってこないのだろうと思う。
手間が掛からなくなった。
その分、会話もなくなった。
そう思う。
でも、会話の為に手間を掛けようとは思わない。
進化か?退化か?
浜本年雄40歳。
小粋なジョークもウケなくなった。
・・・それは昔からか。