【超短小説】年雄と中年とジャンプ
「いつまでマンガなんか読んでんの!ろくな大人にならないよ!」
年雄が中学生の頃、母親に言われた言葉だ。
それを言われた時、年雄は「大人になったらやめるよ!」と返した。
「それじゃ遅いんだよ!」
と母親に返された。
年雄は今だに少年ジャンプを読んでいる。
ろくな大人かどうかは分からないが、働いている。
人にも優しく接しようと心がけている。
普通でいようとしている。
勉強は苦手だが、笑ってはいる。
なんとかかんとか大人だ。
母親はろくな大人じゃないと思っているかも知れない。
聞いた事ないから分からない。
今後聞く予定もない。
自慢出来る事もないが、恥ずかしい事もない。
胸ははっている。
年雄はそんな大人になった。
浜本年雄40歳。
中年でジャンプを読む大人。
教科書のように何かを学んだか分からないが、落ち込んだ時は助けてもらった。
漫画の力。
なう。