【超短小説】年雄と毛玉取り器
さて、毛玉でも取りますか。
年雄はスウェット生地のハーフパンツを手に取った。
五年?いや、六年くらい履いてる。
夏のお気に入りハーフパンツ。
お気に入りなだけに、季節変わりの履き始めには、毛玉が凄い。
もう新しいの買えば?と言いたくなるほどの毛玉。
なんなら毛玉のパンツ。
でも買わない。
この毛玉を取って履く。
それ含めてお気に入りのパンツ。
ペットを美容院に連れて行く感覚。
電動の毛玉取り器を使って、チリチリやる。
このチリチリの音もお気に入り。
毛玉が取れてからのスッキリ感。
やめられまへん。
今年の夏も、このハーフパンツを履いて毛玉を貯めるか。
来年の為に。
浜本年雄40歳。
・・・いや、今年は新品買うか・・・。