【超短小説】年雄、学ぶ
人生死ぬまで勉強。
年雄が子供の頃、母親に言われた言葉だ。
テストの度に、母親をガッカリさせていた年雄は、その言葉の意味を、まったく理解できなかった。
早く大人になりたい。
そうすれば、学校に行かなくてすむ。
勉強しなくてすむ。
テストを受けなくてすむ。
ずっとそう思っていた。
しかし、社会に出て思う。
学べる時に学んでおけばよかったと。
なぜか?
学びは楽しいと気付いたからだ。
新しく知る。
それだけで、社会への見方が変わる。
見方が変わると行動が変わる。
時間が尊いと感じる。
学び。
学ぶ。
こんなに楽しいとは。
早く気付けばよかった。
浜本年雄40歳。
小学生のドリルをやりながら思う。