【超短小説】年雄、融通が効かない
生きていると思う。
ある程度頭は柔らかい方がいい。
柔軟に考える。
それは分かっている。
分かっているが、上手くできない。
仕事帰りに「1時間だけ飲もう」と先輩に誘われた。
お店に入って、もう1時間20分が経つ。
飲み物が来てから1時間だとしも、10分オーバーしている。
大した事はない。
この後予定があるわけではない。
流せばいい話。
でも年雄はソワソワする。
先輩が「最後にもう一杯呑んで帰ろう」と言った。
今呑んでいるのが、最後の一杯だったはず。
年雄はソワソワからイライラに変わる。
大した事はない。
でも、感情が動く。
年雄は融通が効かない。
浜本年雄40歳。
結局3時間呑んだ。
もう先輩の言葉は信用しない。
フンだ!